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渇き。

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品行方正だった娘・加奈子が部屋に何もかもを残したまま姿を消したと元妻から聞かされ、その行方を追い掛けることにした元刑事で父親の藤島昭和。自身の性格や言動で家族をバラバラにした彼は、そうした過去には目もくれずに自分が思い描く家族像を取り戻そうと躍起になって娘の足取りを調べていく。交友関係や行動を丹念にたどるに従って浮き上がる、加奈子の知られざる素顔に驚きを覚える藤島。やがて、ある手掛かりをつかむが、それと同時に思わぬ事件に直面することになる。


監督:中島哲也 


賛否両論のレビューを覗いてみました。
☆1つがずらりでびっくり。
映画の出来としては☆1つにするほど悪いとは思わなかったけれどなあ。
 
この映画、とにかく予告編の吸引力とでもいいましょうか。
凄い気になる!と印象に残るところがまずポイントかと。
 
原作も気になるけど敢えて予備知識なしで観たかったので映画から先に。
クソばっかりの登場人物と聞いていたので、まあ胸糞悪い映画なんだろう、と思いながら見ました。
 
冒頭から暴力、血、血、血の嵐。
 
最後まで観られるだろうかと心配になりましたが、とにかくクソ野郎を演じる俳優陣が見事。
下手な人が誰ひとりいない。
 
妻夫木君も終始、人を小馬鹿にしたような笑いを浮かべる嫌あな刑事を演じていましたが、今までにない感じで斬新。
唯一まともだと思う登場人物の橋本愛も良かったです。
 
役所さんは私、実は凄く苦手な人なんですけど・・・上手いですね。
もうクソ野郎で、何のために娘を探してるんだか分からなくなってきているし、ヤク中なのか精神的におかしいのか、むしろこいつの夢というか妄想だったのではないかと思えるほど狂っていました。いや、本当に上手い。
 
そして注目は二階堂ふみ
この子はメイクや役によってガラリと印象を変えますね。
豪華実力派俳優陣達の中で、一番印象に残っていたかも。
ギリギリの所にいる危うい感じがいい。
 
この映画を最後まで観る事ができたのは、何より加奈子を演じた新人・小松菜奈の魅力でしょう。
新人とは思えない自然な演技。そして角度によっては「可愛い・・・のか?」と思う所もあるのに、いやこの魔性の加奈子を演じられるのはあなたしかいない!というくらいはまり役。
 
人を魅了し、惑わせ、狂わされて破滅させる女。
 
とんでもないクソ野郎です。
しかし、何故だろうか・・・魔性の魅力があるのです。
 
高笑いが自然過ぎて、怖いくらい。
周囲の人間を狂わせて、自殺する人、殺される人やら凄い事になっているのに、一番苦しまずに逝ったんじゃないだろうか、この子だけ。
最後まで綺麗なままだった子。
 
結局加奈子が狂った要因やら、何が目的だったのか、とか色々不明な所は後から思い出すとポロポロ出てくるのですが、最後までこの加奈子に振り回されながら目を離せないのでした。
 
バイオレンス映画、と言えばまあそれまでなのかもしれませんが・・・
暴力、いじめ、自殺、殺し、ドラッグ、乱交・・・・まあ私が苦手な描写でほぼ埋め尽くされた映画です。
 
一言でいえば、「血の映画」かな。
 
アニメーションを入れてみたり、ポップな曲と映像にしてみたり、中島監督も迷走しているのかしら?と心配になるような感じではありますが、実力派俳優陣の演技は期待を裏切りませんでした。
 
個人的にはもう観たくないなという映画ですが、映画がクソだったという訳ではありません。
登場人物が皆クソなだけです。
 
それにしても、人ってこんなに殴られたり刺されたり撃たれたり、車に跳ね飛ばされたり、袋叩きにされても死なないものなんですかね・・・。
 
パパ、強すぎです。
 
長い映画ですが、退屈さは感じなかったな。
ただ、ラストの加奈子の居場所を知っている人間とのシーンは蛇足に感じました。
 
共感できる人間は皆無の映画。
あなたは賛否両論どちらですか?
(3.5点)