監督:中村義洋
原作:湊かなえ
原作の湊かなえさんは、ものすごい勢いで予約されているのを待って待って待ちまくって読んできたのですが、「告白」を超える作品と思えるものがなかったり、胸糞悪くないと物足りないと思うし、胸糞悪い作品だとまた同じような・・・と思ってしまったり、文章があまりうまくないなあとか、何様のつもりだという感じで色々思ってしまうので、ある時から追いかけるのを辞めた作家さんでもあります。
それなのでもう湊作品の映像化があっても見ることはないだろうと思っていたのです。
ただ、どうもこの映画の予告を見る度に気になる。
タイトルのインパクトもそうだし、監督が「アヒルと鴨のコインロッカー」の中村監督だし!
会社の福利厚生で安く映画のチケットを入手できたので、思い切って観に行く事にしたのでした。
土曜日午後一の回。
3分の2以上埋まっている盛況ぶりでした。
さてさて。
結果から言うと、なかなか面白く観ることができました。
これは安定の中村監督作品ということも多分にあるのでしょうが、
①原作未読
②映像として観るとよりリアルで面白い
③実力派俳優陣の名演
という事が良かったのではないかと思います。
これを多分、「ミステリー小説として」読んだら楽しめなかったと思うんです。
あまりにもお粗末な真相。粗があり過ぎる展開に納得いかないんだろうなあと。
ただ、これは映像化してこそ良さが伝わる作品だったのではないかと思うんですよね。
リアル情報社会、今回は主にTwitterですけれど、一昔前「リリィシュシュのすべて」でチャット画面が出てくる斬新な技法に驚いたあの時を思い出しました。
最近だと映画版の「モテキ」で効果的に使われていましたね。
今回の映画、私の中でその人が出てきただけで一気に持ってかれちゃう!というくらい惹きつけられる演技をする俳優陣がぞろぞろ出ていたのですが、
今回は特にラストの貫地谷しほりの演技には思わず泣かされてしまいました。
この役はある意味キーになっていた感じがしますし。すべて見透かしていた感じがね。
で、個人的に好きではないし自分の美人と思うタイプとは違うが綺麗だよな、と認めざるを得ない存在の菜々緒。
はまり役でした。
文句なし美人でスタイル抜群で仕事もできる風、だけどものすごく性格悪そう!という感じがかなり出ていてもうこの人しかいなかっただろうな、というくらい自然。
演技がうまくないと聞いていたのですが、違和感がなかったです。
しかしこんな人が先輩やら同期だったらとばっちりを食う方は溜まったもんじゃないですね。
新人の初出勤からあのミニスカートはないだろ!と突っ込みたくはなりましたけれど。
しいて残念だなあという点は、犯人の動機が結局なんだったのかよく分からなかったこと。
あと犯人には全然ひねりがないという、ミステリ的要素で観ると全然意外性がないというところは残念でした。
それと、井上真央が全然地味OLではなく、可愛いこととかね。
演技は無難に上手いですが、個人的に周囲の実力派俳優陣に押されてあまり目立っていなかったかなあとは思いました。
全体的に見て、長くも感じなかったし、演技が上手い人ばかりの安定感に救われてなかなか楽しく観ることができたなあと思います。
あと、芹沢ブラザーズの音楽がとても良かったです。
私もレアなライブチケットを入手できるかも、と思ったらあんな風になる可能性はあるなあと思いましたよ・・・
(4点)