中学2年の男子生徒が部室棟の屋上から転落し死亡した。事故? 自殺? それとも他殺なのか……? やがて生徒がいじめを受けていたことが明らかになり、小さな町に波紋がひろがり始める。
奥田英朗さんの本です。
実家で朝日新聞をとっていたにも読んでいなかったという私。
(言い訳をさせていただくと、気付いたら大分連載が進んでいたので今更読めないな、という状態だった)
しかし話題になっていたし、内容もかなり興味のあるもの。
予約をしてようやく読むことができました。
500P強の分厚さ、いじめ・自殺・中学二年生・事件――
かなり内容は重く、気軽に読める内容ではなかったですが、後半一気に加速する展開、真相が明らかになっていくので続きが気になってたまりませんでした。
いじめられる側に理由なんてない。
たいていはそうかもしれません。
しかし、この死亡した生徒は、はっきり言って、確実にいじめられるタイプ。
こんなに空気が読めなくて意地の悪いお坊ちゃまがいたら、確実に中学生の中では浮くし、つまはじきにされるだろう。
しかし、いじめが良いと言っているわけではない。
被害者、加害者の親の気持ち。
どちらの立場ももっともなので、読みながら気持ちが右に左へと揺れ動いてしまいました。
それにしても・・・何が一番やりきれないって、首謀者と目されていた少年と、その親ではないでしょうか。
もともとはいじめに加担する気なんてなくて、むしろかばってあげていた立場だったのに・・・。
もう少しこの亡くなった少年の性格が相手に歩み寄れるようなものだったら・・・もしかしたら友達になって、いじめがなくなっていたかもしれない(強い人間のそばにいればいじめられなくなる?)。
だけどどうしてこの子だけが逮捕されてしまうの・・・
13歳と14歳に、こんな線引きがあったなんて。。
とにかくやりきれない。
答えのはっきりと出ない、もやもやとした結末です。
誰が悪かったのかと言うと明確な答えは出ないし、誰もが幸せにならない現実・・・
余韻の残る作品でした。
(4.5点)