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コモリと子守り

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引きこもりの馬場由宇は、自宅裏のアパートのベランダに、
ポニョによく似た幼児がしょっちゅう放り出されていることに気づく。

虐待を疑いはじめた彼は、ある日パチンコ屋の駐車場の車内に放置されたポニョを発見、助け出して自宅へ連れ帰った。グズる幼児を前にどうしたものかと困り果て、頼れる元同級生・舞田ひとみに助けを求めるのだが――。

ひとつの事件の解決は、あらたな事件の入り口だった! 勉強に育児に忙しい17歳の舞田ひとみが、幼い命と友の窮地を救うため、複雑に絡んだ難事件に挑む!!
歌野晶午さんの「舞田ひとみ」シリーズ第三弾。
 
久しぶりの歌野さんの新刊。
タイトルから全く気付けなかったのですが、舞田ひとみのシリーズもので、今回は17歳になったひとみが登場します。
とはいえ、そういえば私、11歳の第一弾しか読んでいない気がする。だからいまいち過去の話にピンとこなかったのだな。歌野作品は極めたと思っていたが、後で14歳の第二弾も読んでみようと思います。
 
タイトルの「コモリ=引きこもり」に気付いたのがようやく読み終えた後(笑)
一体どういう意味だろう?と考えてしまいました。
 
それにしても歌野さんは本当になんというか、凄いですね。
誉田哲也さんにしてもそうですが、今時の若い子を主人公に据えても違和感がないんです。
私でさえ理解できない(笑)なんでもかんでも言葉を略してみたり、会話なんかも自然なんですよね。
 
しかも本作の凄いところは、SNSやらインターネット関連の現代特有のものが沢山絡んでくるところでしょうか。
 
歌野さんの誘拐ものの話の中でも、また意表をつく展開でした。
 
ついついひとみの推理の後、エピローグでどんでん返しがあるのでは?と勘ぐってしまったのですが、引きこもり少年と崩壊しかけている家族の再生ともいえるストーリーも盛り込まれていて、かなり深い話でもありました。
 
それにしても、「真珠」とかいて「パール」ですよ。
キラキラネームをつけるのは結構ですが、生活保護を受けながら子供を放置してパチンコやら虐待やら・・・挙句の果てにあの結末。
これが現実に平気で起こりうる出来ごとである今の時代がなんとも切ないです。
 
おしゃまなイメージだったひとみが、今回すっかり大人の階段を上っているのが分かります。
成長したひとみの活躍をぜひ。
(4点)