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みなさん、さようなら

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1981年、小学校を卒業した13歳の悟は、担任教師の静止を振り切り団地の外へ一切出ずに生活していくことを宣言する。才色兼備な隣人の松島にはその無謀な計画は鼻で笑われるが、彼は中学にも行かずに独自の信念に従った生活を確立していく。母親のヒーさんは、そんなマイペースな息子の姿を優しく見守っていた。


出演:濱田岳/倉科カナ/永山絢斗/波瑠/田中圭/大塚寧々/ベンガル 他
監督:中村義洋
原作:久保寺健彦「みなさん、さようなら」


家の近くではこの映画が公開されていないので、いつもと変わらないくらいの早い時間に電車に乗って映画館まで行って参りました。
公開初日に観に行ったという上司が「あまりお客さんがいなかった・・・」と言っていたのでどんなもんかなと思いましたが、一応10人程度はいたようで(笑)ほっとしました。
 
中村監督×濱田岳君の映画といえば、もう何本見たのかしれませんが、その割にはユーザーレビューが凄く低いのでそんなに微妙な映画なのだろうか・・・とちょっと構えて見ていました。
 
ところが、私は既に原作を読んでいたせいもあると思いますが、原作にほぼ忠実だし、濱田君は相変わらず良い味を出していて、案外悪くないなあという印象。
長いとも感じなかったのは、話の展開を原作を知っている事で理解できていたからでしょうか?
 
うーん、確かに原作を読まないで見たら、同級生の皆が団地から出ていってしまって、いきなりブラジル人の母と義理の父と妹と住む女の子の話になるので唐突だったりするのかな?
また、20年間を生きていく様を描くので、当然男子の芽生え的描写は入ります。それがあると知っていたけれど、実際に「わー濱田君がー!」と焦る気持ちが湧いてきた私からしても、いつもの中村映画を知っている人こそ面食らうところもあるのかな?
 
原作では、倉科カナ演じる主人公の彼女の気持ちなどもきちんと描かれていて、何故その決断を下したかが理解できるなあと思ったのだけど、映画では基本的に主人公に沿って話が進むのであまり彼女の気持ちが伝わりにくい気がしました。
可愛くて持てるだろうに、何故悟を選んだのか?そして何故別れを決めたのか、が分かりにくいので、魔性の女にさえ見えてくる(笑)倉科カナがどうしても見た目そういうインパクトを受けてしまうんですよね(可愛いし)。
 
それと、永山君演じる薗田もあまり人間性が描かれないので、メンタルの弱い変わり者でしかなかったのが残念。それにしても、中学生役はちょっと無理があったような・・・。永山君好きなんで、あまり目立たず残念でした。
 
しかしそれを補うように、母親役の大塚寧々さん(アヒルと鴨以来の競演?)と、何と言っても主演の濱田君が素晴らしいです。
 
とある事件のトラウマから団地を出る事ができなくなった事は「普通ではない」けれど、人並みに恋もするし、性欲だってあるし、自分自身に課した目標からの妥協を許さない悟。
 
団地のトロールや、団地から出ずに生活する様はちょっとしたら気味が悪いほどでもあり、滑稽でもある。
それが濱田君が演じる事によって悲壮感や嫌悪感が軽減するのね。
本当にこの俳優さんの持ち味だと思います。
 
個人的には、思っていたより悪くなかったという評価。
流石に中村監督×濱田君の作品は、そろそろ見おさめかしら?
好きなんだけどなあー。
(4点)


久保寺健彦さん原作「みなさん、さようなら」感想