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愛のむきだし

クリスチャンの家庭に育ったユウは、ある出来事を境に神父の父に懺悔を強要され始める。父の期待に応えようと、懺悔のために毎日罪作りに励むうちに罪作りはエスカレートし、いつしかユウは女性ばかり狙う盗撮魔となっていた。そんなある日、運命の女ヨーコと出会い、生まれて初めて恋に落ちるが……。


監督:園子温


会社でいつも本を貸してくれる上司が、沢山DVDを貸してくれた中の一つ。
自分が好きな映画以外の借りたDVDは、正直冒頭から「うわ・・・これは・・・!」と思う駄作ばかりでした。
好きな俳優が出ているものであれば何とか最後まで見る事ができたものの、見終わった後も「やっぱり微妙だった」とかそんな感想。
好きな俳優がいない映画は、冒頭からもう見ていられなくて、少しだけ見て返してしまったものも何枚かありました。
 
そしてこの映画。
何故ディスクが2枚?と思ったら、237分の映画でした。
約4時間!
 
どんだけ長いんだよ!と思い、何となく見る機会がないままでしたが、休み中に見てみようと思い立ち、早速再生。
 
すると、冒頭から何やら不穏な空気を帯びた過去の話から始まり、登場人物一人一人に焦点をあてたストーリー展開がシンクロしていきます。
 
ユウの章の、子供時代から現在に至るまでの出来ごと。
過去の幸せな時間から、現在の不幸?への道のりが痛い。
だけど西島君(AAAの人ですよね?)、良かったです。彼だからこそ、悲壮過ぎる物語にならなかったし、変態やエロや暴力が、品のないものに鳴り果てる事はなかったのです。


クリスチャンの家に生まれ、ある女が生活に飛び込んできた事をきっかけに、変わって行く家族。
女は3ヶ月の間しかいなかったのに、女がもたらした波乱は厳格な神父であった父を確かに変えてしまった。
 
「罪」の告白を強要する父。
根っからの善人で悪い事の一つもできないユウが、何とか「罪」をこしらえようと躍起になる。
やがて悪い仲間とつるむようになり、万引きや喧嘩など、「罪」を必死に作って行く。
 
そこで、単純にユウがグレてしまう、という展開にならないところがまた不幸だったのかもしれない。
自分だけのマリアを探すため、何故か女子のパンチラ写真を盗撮する事になったユウ。
しかもその技術はプロ並み。
盗撮を続けるも、マリアに出会う事はできない。
 
しかし、とうとう運命の時がやってきて――


という訳で、満島ひかりとの絡みがそこでようやくあるのですが、また満島ひかりは上手いですね。
 
この映画は、とにかく愛とエロと暴力(精神的、身体的、性的など全て)が描かれています。
特に満島ひかりはパンチラシーンやら色々大胆なシーンも見せていますが、それが全然嫌味がないんですよね。
全力でユウにぶつかって行くシーンや、特にラストの章は胸が熱くなってしまいました。
 
そして終始不気味な存在の、安藤サクラ
この方は綺麗とか可愛い顔ではないのだけど、とても強烈な存在感を残します。
結局この人はユウをどうしたかったのだろう?というのが理解できなかったのが残念です。
 
ユウの家族をバラバラにしたのはサオリだけど、サオリがいなかったらユウはヨーコに出会えなかったんだよな。
悪仲間の3人組も、実は凄い熱くて良い奴らだし(個人的にかなり好きだ!)。
 
どんなに情けなくても格好悪くても、ここまで愛をむきだしにしたら、いつか相手に受け入れてもらえるんでしょうかね?
 
とても歪な、愛の形を魅せつけられる映画でした。
4時間という長い映画だったのに、一度も冗長と感じる事もありませんでした。
 
後からじわじわきます。
一度見るべき。
 
あと、音楽が格好良いなあと思っていたら、これがあのゆら帝というバンドなのか!と知り感激しました。格好良いです。
 
(4点)