No-music.No-life

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引きこもっていた息子が、突然元気になった。息子を苛めていた子が、転校するというのだが…「カラス、なぜ鳴く」。かくれんぼが大好きだったみっちゃん。夏休みのある日、鬼になったみっちゃんは、いつまで待っても姿をあらわさなかった。そして、古井戸から…「鬼」。他、言葉にできない不安、ふとした胸騒ぎ、じわじわと迫りくる恐怖など、日常に潜む奇妙な世界を繊細に描く10編。ベスト短編集。


今邑彩さんの本です。
 
「ルームメイト」以来すっかり大好きになった今邑さん。
地元の図書館には書庫にしまわれているようで置いていなくて、なかなか読む機会が取れないのですが、少しずつ読んで行きたいなあ思っている作家さんです。
 
「よもつひらさか」に続き、ホラー・ミステリテイストの10編。
今邑さんのあとがきにもあるように、一番お気に入りの短編集なのだとか。
そういう訳もあって、どの短編もあっと思わされる作品ばかりです。
 
ホラー色が強いけれども、ラストが何処か微笑ましい表題作の「鬼」や、想像するとめちゃくちゃ恐いだろ!と思うのに、そういう生き物だと思ったら可愛く思えるのかも?と思う「黒髪」や、ブラックテイスト溢れる「たつまさんがころした」「シクラメンの家」「蒸発」、何通りにも考えられる結末のその後を想像してぞっとする「カラス、なぜ鳴く」「悪夢」「湖畔の家」など、とにかく短編なのにどの作品も圧倒的な余韻を伴う作品ばかりでした。
 
本当にこの方は文章力もあり、人を惹きつける魅力的な作品を書かれる方です。
(4点)