No-music.No-life

ヤフーblogから移行しました。

最後の恋 MEN'S つまり、自分史上最高の恋。

イメージ 1
 
男は、とっておきの恋ほど誰にも見せない。本当の恋のクライマックスは、自分の心だけが知っている。忘れられない、忘れたくない気持ちはきっと、ひとりで大切にするものと解っているから―男たちがどこか奥のほうにしまいこんだ「本気の恋」。7人の作家が描き出すのは、女には解らない、ゆえに愛すべき男心。恋人たちの距離を少しずつ、でも確かに近づける究極の恋愛アンソロジー



全て作品を読んだ事のある作家で、その中でも好きな作家の作品が収録されているということで、期待して読みました。
 
結果、なかなか満足の一冊だったのではないかと。
 
石田さんの作品だけはうーん、という感じでしたが(男性作家が描くいかにもな女性像が苦手です)、伊坂さんは人気キャラクターの「黒澤」が登場する話だし、越谷さんの話もちょっと切ないけど何だか爽やかな読後感。
朝井さんは文句なしにぐっときて、橋本さんの作品もホロ苦さの中に光るものがあって、荻原さんの作品は騙されてるんじゃないの?!と不安に思いつつ、この女性ならもしかして、と期待を抱かせる展開。白石さんはやっぱり文章が固くて読みにくいなと思いつつ、再生の見える主人公達の関係性が良かったです。
 
特に、朝井さんと荻原さんの作品が良かったです。
 
特に朝井さん・・・!
もう何なのー!夕子さん・・・!夕子さん可愛すぎるよ!抱きしめたい!!!
 
夢を公言してはばからない主人公の男の子と、夢を口に出せず内に秘めつつ着実に夢に向かっている夕子さん。
夢を実現できるとは思っていなくても、それを無理やり実現できるかのように口に出すのと、口には出さないけれど目指すべき道をきちんと分かっている夕子さんと。
 
決定的な違いがあるのに、お互いがお互いに惹かれあっている。
 
大学受験を経験していない私は、センター試験前の緊張感や高揚感を決して知る事はできない。
経験もしていないから、書くことだってできない。
だけど朝井さんは経験を見事に物語に昇華させてしまう。
 
朝井さんが描く主人公たちは生き生きと躍動して、一つ一つの描写がキラキラを光っている。
 
上手いなあ。凄く良い!
男性作家なのに、女性を主人公とした作品が多いのも特徴かも。
ぜひぜひ読んでみてください。
(4点)