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あなたの本

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憧れの都会で流されるままに暮らす女の血脈。深き森で暮らす原始人たちの真実。ごく普通の男子中学生の前に現れた天使の目的。父の書斎で発見した一冊の本に翻弄される男の運命。天才スケート美少女を見守り続ける少年の淡い初恋。すべてを手に入れたミュージシャンが辿り着いた場所。警視庁新宿署新宿六丁目交番に勤務する諸星巡査長の意外な日常―引き込まれるストーリー、予想外な結末を、堪能せよ。


誉田哲也さんの本です。

 
面白かった。
読み終えて非常に満足した作品でした。
 
誉田さんの頭の中にあるアイデアの引き出しを、全部見せてもらったような感じ。
青春モノ(音楽系)、スポーツモノ(武士道シリーズ)、警察モノ(ジウ、姫川シリーズ等々)と、ミステリ、ホラー、恋愛、青春とジャンル問わず様々な作品を発表し続けている誉田さんの集大成とも言える短編集でした。
 
しかも、どちらかと言うとブラックユーモア寄りなのが心憎い。
これはちょっと不思議なほのぼの系の話か、と油断させておいて、最後にガン、と落とされる感じ。
 
特に「あなたの本」「天使のレシート」などのオチには思わずぞっとしてしまうほど。
誉田さん得意のグロ系や、軽いノリの女の子が出てくる中に、殺人やら物騒な事件が絡んできたり、かと思えば「見守ることしかできなくて」「交番勤務の宇宙人」などは気負わずさらっと読めたりして、凄く味わい深い作品になっております。
 
特に一番良かったのは、「交番勤務の宇宙人」。
宇宙から地球へ派遣されてきた宇宙人。人間の姿で交番勤務に勤しみながら、不良宇宙人を捕まえたり監視の裏の使命を果たそうとしている。
過積載トラックの検問で、過積載ではなかったら「×」と手で合図して、と言われた時に、それをすると宇宙人特有のビームが出てしまう故にどうしても「×」の合図ができない、という内容には笑いました(笑)
 
これ、いっそ短編集にして、この宇宙人シリーズで一冊にしてみませんか?誉田さん(笑)
 
誉田さんと言えば長編の読み応えを期待してしまったりするのですが、多種多様な作品が収録された本短編集もなかなか味わい深いものがありました。
ぜひぜひ。
 
(4点)