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人生教習所

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ひきこもりの休学中東大生、南米へ逃亡していた元ヤクザ、何をやってもダメな女性フリーライターなど―人生に落ちこぼれた人間たちが目にした「人間再生セミナー 小笠原塾」の募集広告。錚々たる団体・企業が後援し、最終合格者には100%就職斡旋。一体、主催者の目的は何なのか?遙かなる小笠原諸島で、彼らを待ち受けていたのは、自分たちが知らなかった日本と世界、そして美しい自然。今、彼らの中の「なにか」が変わりはじめた…。清々しい読後感へと誘う物語。


垣根涼介さんの本です。
 
垣根さんの新刊、と思ったら昨年9月末に発売していた作品でした。
垣根さんはエッセイ以外、既刊の作品を全制覇してから落ちついて、新刊が出ても地元の図書館に置いてあったら読んでみよう・・・くらいの気持ちでいたので、何だか久しぶりに読んだ気がします。
 
これ、気付かずに読んでいたのですが、他作品で登場してきた人物が二人も出ていたのですね!
「ゆりかごで眠れ」の竹崎と、「ギャングスターレッスン」の柏木。
何だか何処かで聞いた事あるような設定だなーまた同じような・・・と思って読んでいたら、なるほど(笑)
これを知って読んでいたら、もっと楽しめたかも。
 
作品としては、いつものハードボイルドさはなく、どちらかというと「君たちに明日はない」シリーズのような、人生の教訓めいたストーリー展開でした。
 
個人的には、少々上手くまとまり過ぎて無難な終わり方だったのが少し物足りなかったかな。
でも、同じ日本なのにこんなにも歴史やアメリカと日本が混合した独特の文化が残っている小笠原の歴史や生活を知るきっかけにもなり、目から鱗状態でした。
 
どちらかというと、クローズアップされるのって米軍基地が多くある沖縄のイメージです。
沖縄はその環境から窮屈な思いも多々している印象があるのですが、小笠原はむしろ、アメリカナイズされた文化や習慣を受け入れて歓迎さえしているように思えて、非常に興味深かったです。
 
人生を見つめ直し、現在の生活を変えようとセミナーに参加した年齢も立ち場も性別も違う参加者達。
何処か卑屈で、自信がなく、先が見えていないばかりだった登場人物達が、最後には非常にたくましく成長している姿が描かれ、私も頑張らねば!と思わされました。