合併でできた地方都市、ゆめので暮らす5人。相原友則―弱者を主張する身勝手な市民に嫌気がさしているケースワーカー。久保史恵―東京の大学に進学し、この町を出ようと心に決めている高校2年生。加藤裕也―暴走族上がりで詐欺まがいの商品を売りつけるセールスマン。堀部妙子―スーパーの保安員をしながら新興宗教にすがる、孤独な48歳。山本順一―もっと大きな仕事がしたいと、県議会に打って出る腹づもりの市議会議員。出口のないこの社会で、彼らに未来は開けるのか。
奥田英朗さんの本です。
こちらも会社の上司に貸していただきました。
以前「最悪」を読んだ時、既読の友人が「最悪！って感じ」と感想を語っていたのですが、本作も「無理！って感じ」と言っていた意味を、読んでみて納得しました。
５人の、年齢も立ち場も性別も違った人物が、地方都市の田舎で遭遇した出来ごとが淡々と語られていきます。
同じ街の中に住んでいる人物達なので、さりげなく場面が交差する部分もあるのですが、ラストは若干無理やり感があったような。
それでいてしっくりまとまった感じでもなく、何とも言えない後味が残っているんですよね。
不快感でもなく、空しさでもなく、切ないのでも、悲しいのでもない。
ただひたすら「無理！」と叫んで全てを投げ出してしまいたくなるような、不運が続く主人公達。
あのラストで、一見するとまとまったようにも思えますが、それぞれの登場人物達のその後を想像すると、もう想像を止めたくなるくらい絶望的。
非常に分厚くて読むのに時間がかかってしまいましたが、読んだ後も何とも感覚が残っていました。
まあ一言で言うなら「無理！」って感じ、です。
これ以上のタイトルはないっていうくらい、内容と一致したタイトルかもしれません。
