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シャイロックの子供たち

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ある町の銀行の支店で起こった、現金紛失事件。女子行員に疑いがかかるが、別の男が失踪…!?“たたき上げ”の誇り、格差のある社内恋愛、家族への思い、上らない成績…事件の裏に透ける行員たちの人間的葛藤。銀行という組織を通して、普通に働き、普通に暮すことの幸福と困難さに迫った傑作群像劇。


池井戸潤さんの本です。
 
先日読んだ「下町ロケット」が読みやすくてめちゃくちゃ面白かったので、他の作品も読んでみようと手に取った文庫。
池井戸さんは以前大手銀行に所属していた経験があるようで、銀行の内情に非常に詳しいです。
 
連作短編。同じ銀行のある支店を舞台にした作品であり、各章毎に性別も年齢も仕事の立場も違う人々の考え方や生き方、仕事に対する熱意の違いがどんどん浮き彫りになっていきます。
 
上司から部下への暴力事件に始まり、現金100万円が紛失したり、従業員が失踪するなどどんどん事件が起こっていきます。
 
そんな中で見えてくる不正の事実。
そして最後に明かされる真相――
 
「会社」という組織に属している人が見ると、ちょっと痛いかもしれません。
とてもリアルで。
銀行ミステリとでも言うのでしょうか。謎解きをするのも面白く、二倍楽しめる作品でした。
 
個人的に、西木の心情を明かして欲しかったかなあ。
とても読みやすい池井戸さんの文章も好感が持てました。ぜひぜひ。