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家日和

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会社が倒産して家事に目覚めた夫。ネットオークションに、はまる専業主婦。凸凹夫婦の不思議な人生の波長。いつもどおりの“家”にだって、ドラマティックな出来事はある! 家って、やっぱり面白い。
ずっと外にいた夫の王国か。ずっと家にいた妻の城か。ビター&スウィートな“在宅”小説。


奥田英朗さんの本です。
 
恥ずかしながら、奥田さんは名前だけ知っていたのですが今まで読んだ事がない作家さんのうちの一人でした。
今回も上司から「奥田英朗、読んでみる?」と言われて借りたのです。
空中ブランコ」とか作品の名前は聞いたことがあったのですが、私のイメージではもっと残酷な感じの話を書くイメージだったんですよね。
この作品だけが例外っていう訳ではなくて、こういう作風の方なのかな?
 
という訳で何が言いたいのかと言うと、とても素晴らしい作品でした。
 
家族小説、結構苦手です。
嫌いという訳ではなく、自分の家族が破たんしていることが負い目になっているのか、幸せな家族小説に全く感情移入ができないのです。
ただ、感動はしますけどね。
 
そういった意味でもなんだろう。
無理してないっていうか、等身大の家族小説、という感じでとても心地よく読む事ができました。
 
ネットオークションに初めて挑戦し、相手からの評価で一喜一憂する主婦。
私もオークションを始めたばかりの時、そうだった!と思うと思わずニヤリとしてしまうし。
 
会社が倒産した旦那と入れ替わりに職場復帰した奥さん。
周囲からは同情の目を向けられるのに、家族はむしろ今の状況を楽しんでいるっていうのが良いし。
(ここが青山)
 
別居することになった夫婦。
奥さんが出て行った部屋で、今まで我慢してきた趣味ややりたかったことを始めようと、旦那が自分の城を作ってしまうとか(城=部屋を自分の趣味・インテリアで埋める)。
(家においでよ)


この物語に収録されているそれぞれの家族は、無理がない。
自然で、こんな家族だったら実際にいるんだろうなって思えるんです。
 
家庭不和の環境で育ってきた子供、にぜひ読んでほしい。
家族生活、そんなに悪いものではないかもしれませんよ。
 
面白く、とても読みやすい本でした。