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Love Letter

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婚約者を亡くした渡辺博子は、忘れられない彼への思いから、彼が昔住んでいた小樽へと手紙を出した。すると、来るはずのない返事が返って来る。それをきっかけにして、彼と同姓同名で中学時代、彼と同級生だった女性と知り合うことになり……。








多分、ミポリン(とか言ってみる)の数年ぶりの主演映画ということで公開される「サヨナライツカ」の番宣を兼ねた放送だったのだろう。

週末になると、新聞の特別版として一週間分の番組表がついてくる。
そこで深夜にやっている映画をチェックしているのだけど、この映画が放送するって知った時は嬉しかった。

岩井俊二の「Love Letter」。
まだ1度しか見た事がない気がするが、実は結構好きである。




これは、なんていうか・・・中学時代の「藤井樹」を演じている、酒井美紀とカッシー・・・失礼、柏原崇がとても魅力的な映画だ。

正直、現在の主役である渡辺博子とその現在の彼氏らしき男の話より、いつまでも中学時代の回想を見ていたい気がしてしまうくらいに、良いのである。

映画を観た後に岩井さんの本も読んでいるので、きちんと内容を理解しているはずだった。
しかし、やはり一人二役を演じているミポリンの、どっちが藤井樹であり、どっちが渡辺博子なのか、を冒頭数十分が経過するまで理解することが出来ない。

それは、何故か同じ顔、同じ髪型であるミポリンどっちがどっちを演じているかが分からないという演出のせいなのかもしれないけれど、ここはもうちょっと工夫をして欲しかったと思う。

ただ、少しずつ渡辺博子と藤井樹のそれぞれの生活を理解し、場面でそれを追えるようになると、何故だか藤井樹を演じるミポリンに強い印象を受ける。

見ず知らずの人間からきた手紙に、それでも返事を書いてしまう樹のちょっととぼけたキャラクター。
忘れていた元同級生(それも、同じ名前だったのに!)を、渡辺博子からの手紙で思い出し、記憶を辿っていきながら、知らなかった事実に気付かされた最後の場面――

思わず、きゅーっと胸が苦しくなる。
辛いとか、悲しいとか、そういう気持ちとも違う。とにかく、胸が苦しい。

大人にになっても、無口で肝心なプロポーズも言葉にすることが出来なかった、藤井樹(男の方)。
その恋人である博子と、元同級生との奇妙な手紙のやりとり―




当時は、携帯電話なるものもまだそんなに普及していなかったであろうし、連絡を取るなら電話や手紙が主流だった時代。
図書館の本の貸出も機械化され、手書きで貸出票に書いていたあの頃だからこそ、他にどんな人がこの本を借りたのだろう?どういう人なのだろう?と、宮崎駿監督の「耳をすませば」みたいな出会いも、今では起こりようがなくなってしまったのかもしれない。

藤井樹が使用しているのはワープロだし、もしネットが普及している時代であったなら、検索にかけたらもしかしたら別の方法で調べていたかもしれない訳だし。。

そう考えると、その当時だからこそ起きた偶然、というものが・・・・恐らく現代ではほとんど起こりうることなどなかったのだろう、と思う。
少しだけ、何だか寂しくなった。




同じ名前の、男女。
偶然にして3年間も同じ教室で過ごさなくてはならなくなった中学時代の二人の、幼さゆえの甘酸っぱさが心に染みました。

良い映画です。