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絶望ノート

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いじめに遭っている中学2年の太刀川照音は、その苦しみ、両親への不満を「絶望ノート」と名づけた日記帳に書き連ねていた。そんな彼はある日、校庭で人間の頭部大の石を見つけて持ち帰り、それを自分にとっての“神”だと信じた。神の名はオイネプギプト。エスカレートするいじめに耐えきれず、彼は自らの血をもって祈りを捧げ、いじめグループ中心人物の殺人を神に依頼した。「オイネプギプト様、是永雄一郎を殺してください」―はたして是永はあっけなく死んだ。しかし、いじめはなお収まらない。照音は次々に名前を日記帳に書きつけ神に祈り、そして級友は死んでいった。不審に思った警察は両親と照音本人を取り調べるが、さらに殺人は続く―。




歌野晶午さんの本です。

あーやられたっ!
まさかこんな結末が待っているとは・・・!

世界の終わり、あるいは始まりを読んで、ある程度予測はしていたつもりだったのですが・・・。

「いじめ」に遭っている中学生の絶望を書いた日記、というだけの話ではないのだろう・・・
そしてこの日記が「事実」ではないのかもしれない・・・と予測して読んではいたのですが、複雑に絡み合った人間関係と、偶然とは言い難い程タイミング良く起こる事件。

太刀川照音(タチカワショオン)で、タチションって凄いあだ名ですね。

ジョンレノンを敬愛する父親が、ジョンと同じ格好をして働きもせずに家でごろごろしたり、酒を飲んでパチンコをして・・・貧乏な家に生まれたからこその子供の苦悩が、こういう形で運命を変えていく様は、ある意味で恐怖の話でした。


果たして現実に照音に起こった出来事は、一体今後どういう風に転がって行ってしまうのでしょう。


分厚いページ数と、上下段での濃厚な一冊でしたが、歌野さんの巧みな文章に惹きこまれて、すいすい読めました。

やっぱり歌野さんに、こういう内容を書かせたら右に出るものはいないですね!