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陽だまりの偽り

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最近、物忘れがはげしいことを気にしている郁造。息子の嫁から預かった現金を落としてしまったが、どこで落としたのかも覚えていない。ボケ老人のレッテルを貼られることを恐れ、郁造はある行為に踏み切る。果たして、その先に待ち受けていたものは…(表題作「陽だまりの偽り」)。5つの心模様を端正に描いたミステリー短編集。小説推理新人賞作家、注目のデビュー作。




長岡弘樹さんの本です。

「傍聞き」で初めて知った作家さんだったのですが、短編ながら圧倒的な存在感を持ったミステリ、といった印象を十分にあたえてくれた力作だったと思っています。

なので、この本も読もう読もうと思っていたのですが、伸ばし伸ばしになってしまっていました。

期待して読ませていただきましたよ!


デビュー作ということで、ちょっとラストが弱いかな・・・と思う点もなきにしもあらずでしたが、短編なのにどの作品も強く印象に残る事は変わりません。

「写心」と「重い扉が」が特に印象的でした。

人というのは、本当に焦った時には突拍子もない行動に走る・・・・というのが、どの作品にもかなり露骨に出ています。
特に「淡い青のなかに」の母と息子の行動には、一瞬あっけに取られました。
その後あの親子がどうなってしまったのかは・・・想像するしかないのですが。

ミステリとして十分に楽しめる短編なので、ぜひ長岡さんの長編も読んでみたいです!

この作家、要注目です!