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サムシングブルー

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ありえない。恋人と別れた次の日に、昔の恋人と昔の親友の結婚式の招待状が届くなんて―。今の私に、この結婚は祝えない。小説すばる新人賞作家が丹念に描き出す、幸福を探し求める私たちの物語。




飛鳥井千砂さんの本です。

はるがいったら学校のセンセイを読んで、ひそかにお気に入りの作家さんです。

うわ・・・この作品、良いわ。

主人公が27歳、恋人と別れたばかりなのに、結婚式の招待状が届く。
しかも、元彼氏と元親友同士の結婚式・・・

設定は違えども、ニアミスする部分が多すぎて、多いに共感しながら読んでしまいました。


あー高校の時に、こんな仲間と協力して何かを作り上げるとか、彼氏と放課後一緒に帰ったりとか、そういう甘酸っぱい青春を過ごせていたらね。
きっと楽しかっただろうに!

という気持ちにさせてくれるくらい、爽やかで良いです。


現在―付き合っていた恋人と別れ、失意のどん底にいる
過去―高校時代、体育祭の実行委員の仲間と協力して作り上げた応援旗。高校時代の回想

現在と過去が上手い具合に折り重なって、輝いていた高校時代と、現在の落差がとてもうまく描かれていると思いました。


特に、主人公が同年代ということもあって、周囲で結婚・出産、婚カツ、転職・・・などと自分の周囲でも同じような事が起こっていて、そういった意味でもかなり共感してしまいました。


何だろう、本当にうまく言えないんだけど・・一番共感したのが、


招待された結婚式に、一点の曇りなく心から祝福出来る人なんて、招待客の中に一人もいないよ!


というような台詞が本文中にあるのだけど、何だかこの主人公と同じようにほっとしている自分がいたのです。

この前行った友人の結婚式、心の底からは祝えてなかったからな。

それは決して、「私も早く結婚しなくちゃ」っていう焦りとは別の感情だったのだけど。


男と女の関係がなく、長く続いてきた男女間の友情が、一夜にして急に気まずいものに変わってしまうのとか、当時は親友だった子と、今では全然連絡を取り合っていないこと。
10年の歳月が、外見や考え方・・・色々な事を変えてしまうこと。


10年前。
それはもう、高校生の時なんですね。

中学の頃の記憶だって、今でも割とはっきり覚えているのに、歳を取ったんだなあって気付かされました。

そういった意味でも、とてもとても良い作品でした。

あっさりとしているようで、少し皮肉めいたようなこの作家さんの文章が、私にはとても合っているみたいです。