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世界の終わり、あるいは始まり

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私の子供が誘拐犯なのか? 新境地を切り開く衝撃のサスペンス!

東京近郊で連続する誘拐殺人事件。被害者たちの父親の名刺がすべて、なぜか私の子供の部屋にある。そのとき父親がとった行動は?衝撃の長編サスペンス!

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歌野晶午さんの本です。

歌野さん…やっぱり良い!
私の直感に狂いはなかった!!
二作読んできて、本作で三冊目になりますが…今回はアンハッピーエンドではなかったので驚きました。
いや、決してハッピーエンドでもないのですが…。


近所に住む小学生の男児が何者かに誘拐され、身代金を要求された上に殺害された。しかも、拳銃で撃たれたのだという-
そんな事件を、結局は他人の不幸と楽観視していたのは、富樫修。
しかし、ある日自分の息子が犯人なのではないかと思われる物的証拠を息子の部屋で見つけてしまった修は、犯人は息子であるという疑惑を抱く。

疑惑は濃厚になり、次々と事件に関連した形跡や証拠を見つけてしまう。

息子に問い詰めるべきか、自首を進めるべきか、警察に駆け込むか…自殺、一家心中、アリバイ工作、息子を殺す…

様々な未来を、想像を実現させた後に起こりうる現実を妄想し、修は追い詰められて行く…


読み手側は、何度も繰り返すその妄想に翻弄され、これは現実なのか、それともまた妄想なのかが分からなくなっていきます。
結局、息子は潔白なのか、黒なのか…いつしか、修の気持ちにシンクロしている自分がいました。

果たして犯人が誰だったのかは語られませんが、不思議と肩透かしをくらったような気分にはならないのでした。

しいて言うなら、あまりにも実は妄想だった!という展開を繰り返すので、どうせ妄想でしょう?と途中から疑ってかかってしまった事でしょうか。

歌野さんらしく、遇えてアンハッピーな結末でしめたものも読んでみたかった気もしました。
でも、個人的には満足しています!

それにしても、このお父さん・・・想像力がたくましすぎます。小説書けるのではないでしょうか?
悪い想像というのは、意図せずにどんどん膨らんでしまうものなんでしょうかね。