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重力ピエロ

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遺伝子を研究する泉水と芸術的な才能を持つ春は、一見すると仲の良さそうな普通の兄弟だ。そんな二人の住む街では、謎の連続放火事件が発生していた。泉水と春は事件に深く踏み込み、家族を巻き込みながら次第に家族の過去にも近づいていくのだが……




出演:加瀬亮/岡田将生/小日向文世/鈴木京香/渡部篤郎/吉高由里子/岡田義徳 他
監督:森淳一
原作:伊坂幸太郎
主題歌:S.R.S




5月23日全国公開、という訳でとても気になって気になって、結局今日朝一番の回で観に行ってきました。

既に前売り券を買っていたのと、朝一の回ということでなかなか空いていたので快適でした。
家族連れで観に来ている人もいて、家族の話でもあるだけに何だかほろ苦いような嬉しいような気持ちになりましたね。

結論から言えば・・・

予想以上に良かった!

という感じでしょうか。
元々、伊坂さんの作品の中でも一番に心に残った話だったという事もあります。
そして加瀬亮が好きだ、という単純な理由もあります。

だけど、映画館で観る予告が・・・春が、二階から落ちてきた。という言葉と、春がふわりと舞い落ちてくるあの映像があまりにも綺麗で・・・そして素晴らしすぎて、多分映画は絶対いいものになっている!と確信していました。



映画化が決まり、気になるキャストは泉水が加瀬亮。うん、イメージ通り!
春が・・・岡田将生君? うーん、イメージじゃないな。
お父さんも小日向さんとは違うイメージだし、鈴木京香は綺麗だけど、少女っぽい可愛らしいイメージのお母さんとはちょっと違うような・・・

最初の印象はそんなものでした。

だけどどうでしょう。
映画を観終わった後、このキャストでなければ成り立たなかった!と思えるほど、しっくりとくる感じを味わいました。
いや、泉水は加瀬亮しかありえなかったし、春は岡田君だった・・・
小日向さんのお父さん役だからこそ、「俺たちは最強の家族だ」という言葉が胸に染みたし、美人だけど型破りな部分も持っているお母さん役は、鈴木さんだからこそ出来たのだ!と思えるくらいに、ぴったりとはまっていました。

映画を作製するにあたって、携わった沢山のスタッフやエキストラ達・・・
その誰もがこの「重力ピエロ」という作品を愛していたからこそ、こんなに温かい映画が出来たのだろうな、と思えるくらい愛が感じられる作品に仕上がっていました。


幼い泉水と春を演じた子役達の素晴らしさ、現代の泉水と春を演じる二人をすんなりと受け止められたのは、多分この子役達の自然な演技と兄弟の信頼関係で結びついているかのような、安定感が理由でしょう。
何度この子たちに泣かされたことか!

そして、何より良かったのが・・・小日向さんでした。

特に幼い頃の兄弟を見守るその優しげな眼差し。そして全てにおいて明るく前向きで、そして多分誰よりも強い父という絶対的な存在感を持って、小日向さんはその父親を演じています。

レイプ――私は、その言葉を聞いただけで、見ただけでぞっとするし、映画でも本でもドラマでも、そのシーンがあるだけで胸が張り裂けそうになるくらい痛くなります。

そんな被害にあった美しい母の気丈な強さと、苦悩。
そしてその犯人の子どもを宿してしまった不幸。
それを受け入れ、子どもを産み育てようと決意した父親・・・

生んだ後にも数々の誹謗中傷(「恥を隠す事もしないのか」「この街の人なら、誰でも(その事件の事を)知ってますから」とか)に耐え、それでも真っ直ぐに子どもに愛情を注げる家族こそ、どれだけ強いのだろうと思います。

恥であり、自分が生まれてきた事を後悔するくらいの恨みをずっと胸に抱えたまま、性に異常な程嫌悪感を抱く春。
それを見守り、支えてきた泉水。


世の中にはびこる悪を、悪をもって成敗することでその人間はいなくなる。
だけど、愛をもって戦う事――それは、全ての現実を受け止めた上で自分と血の繋がらない息子を全力で愛し続ける事だとか――は、多分何よりも、誰よりも強いのだと思う。

家族とは何か、悪とは何なのか。

ハンカチなしでは、きっと大変なことになります。実際、そうなったので。

アヒルと鴨のコインロッカーでもそうでしたが、劇中に何度泣いたか分かりません。

久しぶりに心の底から素晴らしかったと思える映画でした。

出来るなら、もう1回観たいです。


それにしても、岡田君・・・かなり演技力が増しましたね!
前回見た「ハルフウェイ」みたいな役じゃなくて、こういう役も全然いける!
しっかし美肌ですね。若さがうらやましいです。

個人的に加瀬亮のメガネ姿に萌えました・・・。
何でこの人はこんなにメガネが似合うんだろう。

吉高由里子の「夏子さん」の挙動不審っぷりもかなり良かったです。