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バスジャック(文庫版)

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いかに美しくバスを乗っ取るか。いかに多くの大衆の支持を獲得できるか。それが問題だ……。バスジャックがブームになった社会を描く表題作ほか、三崎亜記の天才を実感できる傑作短編集。

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三崎亜記さんの、バスジャックが文庫化されておりました。
新刊で、久々に本を購入した気がします。


三崎さんといえば、デビュー作のとなり町戦争が有名ですが。

はっきり言って、あの作品は好き嫌いが分かれるだろうな、という感じだったと思います。
私はあの本を読んだ時に、「あ、これは無理だ」と悟ったのです。

ただ、その後何を思ったのか「三崎さんは他にもいくつか本を出していたのだなあ」と思い、たまたま読んでみたこの短編集で、度肝を抜かされたのでした。


あれ? 三崎さん、あんた凄い短編書いてるんじゃん。っていうか、面白いじゃん!


あの衝撃は忘れられません。

特に今作の中の、一番最初の話二階扉をつけてくださいインパクトは大きく、読み終わった後、変に背筋が寒くて仕方がなかったのを覚えていました。
再読をしてみて、その感覚に嘘はなかったと再確認。

かといって、そういう「末恐ろしい」「身震いがする」ような話だけではなく、バスジャックのように奇想天外な話はやっぱり三崎さん得意の分野、と言った感じでしょうか。

二人の記憶のような、少しだけ切ないけれど温かい話、一見したら恐ろしいとも思える送りの夏の妙な読後感の爽やかさ。

本当に、となり町戦争が無理!だった人にこそ読んで頂きたい、三崎さんの傑作短編集であることを強く主張したいです。

それぐらいに、読んで損はない一冊です!