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式日

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「カントク」は、実家の山口県宇部市に里帰りする。そこで「明日は私の誕生日なの」と語る少女、「彼女」と出会う。カントクはそれまで東京でアニメの仕事をしていて大きな成功を得たが、それによって生まれた無力感や、本当は実写をやりたいという不満をため込んでいた。

彼女はカントクに自身の母親に姿を重ね、かれに心を開く。またカントクは自分の実写作品の最初の素材として、彼女の日々を撮り続けるようになる。

二人で生活をし始めるうち、当初は被写体としてしか捉えていなかったカントクだが、彼女がうちに秘める、肉親の死という喪失感、自分を捨てた母親への憎しみ、常に比較の対象にされてきた姉への嫉妬など…虚構の世界に引きこもる動機に直面し、次第に彼女の心の問題そのものに取り組むようになる-

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同じくお借りしたDVDです。

岩井監督初の俳優としての映画出演ということで、気になっていたのです。
別に庵野監督は好きじゃないけど、この世界観は凄かった。

主人公の男が、偶然に出会った少女はかなり個性的で不思議な彼女。

そんな彼女との一ヶ月を淡々とつづっていく、ただそれだけの話なのです。


彼女は本当に個性的ないでたちをしている。

儀式の為に、毎朝6時に起きて屋上に登る。
線路に寝転がり、赤い傘をさして顔を化粧で塗りたくり、赤い服を身にまとい奔放に生活するだけのように見えた彼女。

次第に彼女を被写体として映像を撮り始めた監督は、彼女が「嫌な現実」から逃げ出している事、過去から目をそむけ自分に都合の良い世界のみを見つめて生きていること、ほとんど睡眠をとらないこと・・

などが分かってくる。

一見すると、可愛くて凄く細い(!)彼女なんですが、突飛な行動と発言、いきなり壊れる脆さは見ていて危なっかしくて怖い。

放っておけないと傍にいる監督も、次第に彼女を「うっとおしい」と思うようになっていく・・

だけど、最後はちゃんと彼女が自分自身と向き合えるようになる。


「明日は私の誕生日なの」



と毎日のように繰り返していた彼女が、「12月7日は私の誕生日」だと言って笑う最後の姿は、何だか鳥肌が立ってしまった。


若干一ヶ月間を1日1日でカウントしながら映像化しているため、途中で「まだ終わらないのか・・」と思うことはありました。。

が、映像は綺麗。

岩井監督の映像が好きな人は、抵抗なく見れるかと。


でも、スタジオジブリ系列の初めての実写映画だったようです。
しかしこれ1本きりということは、あまり成功しなかったということでしょうか。