青い空 真昼の月 心が透けて見えるようだ なぜなんだろう? こんな日は 今さら君に逢いたい
え?これがあの、音速ライン?
そう思わずに入られない程、ニューシングル真昼の月を聴いた時の驚きは大きかった。
始めから力強いサウンドで聴き手の心をするりとさらっていく。
それはいつもの柔らかな、切ない「音速ライン」の音とは明らかに違っていた。
いや、だからといって切なさがなくなった訳ではない。
むしろそれは充分過ぎる位にあるのだ。
しかしその根底の、「力強さ」「骨太のサウンド」というものが今までとは全く異なっているように思えた。
何故なら今回の音は、今までの音速ラインからは想像も出来なかったからである。
それはいつもの柔らかな、切ない「音速ライン」の音とは明らかに違っていた。
いや、だからといって切なさがなくなった訳ではない。
むしろそれは充分過ぎる位にあるのだ。
しかしその根底の、「力強さ」「骨太のサウンド」というものが今までとは全く異なっているように思えた。
何故なら今回の音は、今までの音速ラインからは想像も出来なかったからである。
2003年、前身バンドスーパーリラックスとして活動していたVo.藤井・Dr.菅原と、サポートとして参加していたBa.大久保の3人で音速ラインを結成。
2004年、インディーズより二枚のミニアルバム『うたかた』・『青い世界』をリリース。月に4、5本のライブをこなしていく。
2005年、『スワロー』でメジャーデビューを果たし、1年で3枚のシングルと1stアルバム『風景描写』をリリース。そのアルバムは、1stでありながらもベスト的な完成度の高い1枚となった。着実に彼らのファンを増やしながらも、Dr.菅原が足の不調により突然の脱退。
2006年、2枚のシングルと2ndアルバム『100景』をリリース。
2ピースながらも確実に音の質を上げた彼らの待望の2nd。前作の雰囲気とはガラリと変わった1枚となった。
そして2007年、待望のニューシングル『真昼の月』がリリースされた。
更に6月にはシングル『恋うた』のリリースも決定している。
2004年、インディーズより二枚のミニアルバム『うたかた』・『青い世界』をリリース。月に4、5本のライブをこなしていく。
2005年、『スワロー』でメジャーデビューを果たし、1年で3枚のシングルと1stアルバム『風景描写』をリリース。そのアルバムは、1stでありながらもベスト的な完成度の高い1枚となった。着実に彼らのファンを増やしながらも、Dr.菅原が足の不調により突然の脱退。
2006年、2枚のシングルと2ndアルバム『100景』をリリース。
2ピースながらも確実に音の質を上げた彼らの待望の2nd。前作の雰囲気とはガラリと変わった1枚となった。
そして2007年、待望のニューシングル『真昼の月』がリリースされた。
更に6月にはシングル『恋うた』のリリースも決定している。
1stアルバム「風景描写」は、メンバー自身『ベスト盤みたいなものを作りたくて』と言っていただけのことはあって、インディーズ時代からのファンにも、またメジャーデビュー以降のファンにとっても満足する一枚になっている。
その「聴きやすさ」は、音速ラインの作り出す「音」が聴き手に痛く切ない程伝わってくる事が要因だろう。にも関わらずそれはとても前向きで「明日も頑張ろう」という気持ちが自然と生まれてくる事が大きいように思う。
全12曲を通してみても、Vo.藤井の高音がどんなサウンドにも調和していて、更にバンド全体の音の安定感がアルバムに充満し、気付けばもう最後の曲になっているとでも言うような、とても自然な流れでアルバムは終わる。
全てを忘れてしまえばいいだけ / our song 忘れないで 今は一人 歩き出せる そんな詩を /冬の空 いつも いつでも 君の事忘れないよ・・ /街風 くだらない事ばかり考えて 我を忘れて /ヒグラシ 忘れない 僕は今 この時を 忘れない 君が今 笑った事は /リンカラン さよなら 忘れやしないよ さよなら あの日の言葉 /スワロー 僕たちが 忘れずに この胸を 焦がすのは /スローライフ
この「風景描写」を通して印象に残るのは、忘れるという言葉だ。
それは、Vo.藤井が『忘れたくない景色や感情を歌や歌詞に書き留めてるところもあるんです。そうすると覚えてられる。』と言っているように、歌詞の中で頻繁に登場する言葉である。
音速ラインの音を聴く度、Vo.藤井が今も在住している福島での景色や感じたものをストレートに歌詞や音へと反映させ、それが私達聴き手にここまで響いてくるということが何より凄い。
そのせいか、このアルバムの印象は何処か懐かしい田舎を思い起こさせる。
「忘れる」というキーワードが、藤井が描く風景とリンクして私達の想像力を膨らませる。
だからいつだって、雲ひとつない青空だとか濁りのない綺麗な小川だとか、寒空の下で白い息を吐きながらあぜ道を歩いているというような、自分自身が音の中の主人公になったような気持ちになってしまう。
そう言った意味でも、この1stアルバムは完成度の高い1枚だった。
だからこそ、次のアルバムはどうなってしまうのかと期待と不安が入り混じった気持ちでいたのだ。
インディーズ時代の名曲を盛り込むのか、または新曲ばかりを収録するのか?
いずれにしても、その予想は当たりも外れもしなかった。
いずれにしても、その予想は当たりも外れもしなかった。
2ndアルバム「100景」。
初めて聴いた時に、思わず泣いたインディーズ時代の名曲、ここにいる・夕凪の橋。
更にシングルで発表されていたナツメ・みずいろの町以外は全て新曲という構成。
更にシングルで発表されていたナツメ・みずいろの町以外は全て新曲という構成。
ゆるやかで、切なさが満たしていた穏やかな世界はそこにはなく、そこにあるのは疾走感。
そして、骨太なロックであった。
そして、骨太なロックであった。
1stに収録されていた曲の中に頻繁に出てきていた「忘れる」というキーワードは、もはやインディーズ時代の2曲だけにしか出てこない。
それどころか今作では「思い出」という過去、と進まなければいけない「未来」というものが強く感じられて、だからこそ今までの「忘れる」という言葉とは対照的に思えるのかもしれなかった。
前作まで「忘れる」「忘れない」と留まり続けてきた想いから少しずつ外の世界、未来へと足を踏み出しているからなのか?
それでも決して、過去から遠のいている訳ではなく・・過去を振り返りながらも、その目で未来を見据えているのだとでもいうかのような。
そんな不思議な世界観。
それはメンバー自身、菅原の脱退という過去にはしたくない事実があって、それでも進みたいという表れのようにも思えた。
全くの見当違いかもしれないが、そうやって歌詞や音の世界に自分たちを投影させながら彼らは進むべき道を模索し続けていたのではないだろうか?
全くの見当違いかもしれないが、そうやって歌詞や音の世界に自分たちを投影させながら彼らは進むべき道を模索し続けていたのではないだろうか?
特に今まで忘れられない想いばかりを歌ってきた彼らが、今作では様々な視点から曲を作り出している事に驚いた。
その中でも、個人的に思い入れの強いラリーは意外だった。
これは歌詞を見る限り・・『サラリーマンの歌』である。
そんな言葉で表してしまったら、眉間に皺を寄せる人もいるかもしれない。
そんな言葉で表してしまったら、眉間に皺を寄せる人もいるかもしれない。
疲れきった背広姿のサラリーマン達が、空虚な目で何処かを見ている。
ただそれだけなのに、この曲を聴きながら私は泣きそうになってしまったのだ。
何故かは分からない。
ただ、あまりにもこの歌の主人公が愛おしくて、悲しくなったのだ。
ただ、あまりにもこの歌の主人公が愛おしくて、悲しくなったのだ。
単調な毎日。
同じ背広を着て、満員電車に揺られながら疲れきった顔で岐路につく。
同じ背広を着て、満員電車に揺られながら疲れきった顔で岐路につく。
私がもし、サラリーマンだったら・・やはりこの人たちと同じように疲れた顔で何処か遠くを見つめていたのだろうか?
この歌の主人公は、毎日を過ごしながら・・いつかこの現状から抜け出せる事を祈っている。
きっと叶わないはずの、そんな小さな望みを抱いている。
きっと叶わないはずの、そんな小さな望みを抱いている。
それを考えただけで、私は物凄く泣きたい衝動に駆られてしまったのだ。
じわりじわりと、この歌の世界に浸りながら。
じわりじわりと、この歌の世界に浸りながら。
全11曲のこのアルバムを初めて聴いた時、「あ、彼らは変わったな」と漠然と思った。
だからこそ、最初はあまり好きになれないアルバムだとも思った。
だからこそ、最初はあまり好きになれないアルバムだとも思った。
それなのに・・いつしか彼らの音楽で「また明日も頑張らなくては」という気持ちになっていたのだ。
前作とは全く違うと思っていたというのに。
前作とは全く違うと思っていたというのに。
それでも、この2ndを聴いても1st同様の景色は思い浮かんでこない。
今度は逆に、都会のビルの合間からのぞく小さな空と、街の喧騒と人ごみの中にいるというのに感じるどうしようもない孤独感・・そんなものが浮かんできてしまう。
前作と対照的に感じたのは、きっとこのアルバムが纏っている空気が、「都会的」だからなのだ。
しかしそれは決して不快なものではない。
こんな毎日でも、明日はやってくるのだという希望みたいなものを抱えながら、私達は未来へと向かっていくのだから。
そして、彼らの久々のニューシングル真昼の月に思う。
田舎的でも、都会的でもない。
むしろその二つを融合させたかのような不思議な世界が聴くものを包み込んでいく。
むしろその二つを融合させたかのような不思議な世界が聴くものを包み込んでいく。
そう、音速ラインは着実に未来への一歩を踏み出したのだ。
そんな様々な想いを抱えながら、彼らは更に一歩一歩未来へと向かっていくのだろう。
過去を忘れる事なく、それでも前へ前へと。
過去を忘れる事なく、それでも前へ前へと。