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DIVE!![上]

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この一瞬にすべてをかけて目指せ、オリンピック!ダイヤモンドの原石のような少年たちの熱い季節が始まる――!高さ10メートルの飛込み台から時速60キロでダイブして、わずか1.4秒の空中演技の正確さと美しさを競う飛込み競技。その一瞬に魅了された少年たちの通う弱小ダイビングクラブ存続の条件は、なんとオリンピック出場だった!女コーチのやり方に戸惑い反発しながらも、今、平凡な少年のすべてをかけた、青春の熱い戦いが始まる―。

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直木賞受賞作家の森絵都さんの本です。

森絵都さんは、最近は大人向けというかそんな物語を書き続けているけれど・・
児童書から好きになった私としては、やはり児童書を書く森絵都さんが好きなわけで・・

だからこの作品は好きです。
児童書は児童書でも、少し大人向けですけどね。

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一度この本は古本で1巻のみ買って読んだことがありました。
しかし、どうしても定価で購入する勇気がありませんでした(意地)。
だって、一巻は2000年に発売されていますからね。

そんな訳で、それから時が経ち・・ようやくの文庫化でございます。
それでも買ってからなかなか読む気にならなかったのは、何だか日々やる気がなくダラダラしていたせいでしょうか?
一気に読みたいんですよ。
シリーズものって。

で、ようやく上巻を読み終えたので感想を。

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一部 前宙返り三回半抱え型

主に坂井知季の話であります。

知季は、ミズキダイビングクラブ(MDC)という所に在籍している。
このMDCは、赤字続きでありいつ破綻するとも限らない状況である。

そのクラブには、富士谷コーチの息子である要一がいるのだが、飛びぬけて能力が優れているのはこの要一だった。

知季は、とても自分は要一にはおいつけやしないと考えていて、そこまで熱心にダイビングをしていたわけではなかった。
しかし、小学校低学年の頃、要一のダイビングを見てからMDCに入ったのも事実だった。


そんなある日。
突然麻木夏陽子と名乗る女が現れる。
MDCを守りに来た、と言う夏陽子だったが・・。

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知季にも、彼女という存在はいた。
しかし、好きなのか好きではないのか?自分でもよく分からないまま付き合って、手を繋ぐことはおろか、触れる事も今までなかった。
彼女、未羽には彼氏らしいことなど一つもしていなかった。
電話が来る度、びくびくしていた。

後に、双子ではないが学年は一緒の弟とある事件が起こることも知らず・・


そして再び、夏陽子との再会。

新しく知季たちのコーチになることが決まっていたのだ!!
飛ぶ前からズバズバ改善点を指摘するコーチ!

最初は仲間達の反感を買っていたのだが。。

ある日、夏陽子から知季はあるトレーニングメニューを渡される。
鬼のようなトレーニングの毎日の始まりだった。

それからは、友達も彼女も勉強も家族も全てを捨ててトレーニングに励んだ。
そして夏陽子からの課題。
三回半の達成を出される。

何度練習しても出来ない。
そして、夏陽子の知季への特別な指導がクラブ内で問題になった・・・!

同時期にクラブに入った、レイジと陵だと確信した。

それから、クラブの存続が怪しまれていることを改めて知る。
存続の条件は、オリンピック出場だった・・

友人にうらまれ、コーチからは果てしなく高い三回半へのハードルをつきつけられ・・

知季は、練習をサボった。。

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出張、と行ったきり帰ってこなかった夏陽子が帰ってきた。

津軽の幻のダイバーと呼ばれる沖津飛沫を連れて。。
祖父はかの有名な、沖津白波だという。。

初めて飛沫を見た途端、皆が注目していた。
何でも、地元青森では崖の上からダイブをしていたという。

飛沫に感化されたかのように、ひたすらに練習を繰り返し成功した時のなかった三回半を、知季は突然飛べるようになった。

オリンピックの選考会が目前に迫り、それに間に合いそうだと周囲からも安心されてきたその頃・・
事件は起こった・・

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ある日、練習が早めに終わり家に帰ると女物の靴があった。
弟の弘也が彼女を連れ込んでいるらしい?
冗談半分でからかう知季に、必死で抵抗する弘也。

そう、その彼女とは・・
知季の彼女でもある未羽だった。。

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それからはショックのあまりクラブをさぼり続けた。
とうとう選考会は翌日、となったその時。。
夏陽子の説得で知季は選考会への参加を決意した。。

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二部 スワンダイブ

沖津飛沫の話です。

アジア合同合宿への参加をかけた選考会。
いよいよ当日。

MDCのメンバー達は、一人ずつ着々と技をこなしていった。

知季の今までの迷いは消え、無名ながら上位につけるなど快進撃は続いた。
しかし飛沫は。。
柄にもなく緊張し、安定した演技しか出来ない。

夏陽子が叱咤すると、いつもの飛沫の演技に戻った。

豪快ね飛び方、スプラッシュが威勢よく沸き起こる!

審査員達の得点は低かった、しかし夏陽子はそれでいいと笑う。

しかし、飛沫の腰の痛みは嘘をつけなかった・・
誰にも言っていなかったのに、コーチ達は知っていた。

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あり得ないと思いながら、結果を待つ。

要一はトップで合宿参加権を得た。。
そしてMDCからは・・
何と、飛沫だった。

飛沫は、慎重なダイブからの脱出を成功し自分だけのダイブをこなした。
審査員受けは良くなく、三位入賞はおろか五位以内にも入れなかった。

なのに、何故?

中国の孫コーチの強烈なプッシュがあったせいだという。
しかし、夏陽子たちはその出場をコーチ自ら辞退させてもらったという。

イコール、四位だったが未知の可能性のある知季が合宿参加権を得ることになったのだった・・

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腰を痛めているから三回半の技すら困難な飛沫は、全てを諦めるため地元津軽へと帰っていった。
恋人との毎日、海を眺めるだけの日々・・

祖父への怒り、呪縛・・

飛沫は全てを諦めたように見えたのだが・・・

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次は下巻です。

普通に見えた知季が「ダイヤモンドの瞳」を持っている逸材で。
普通じゃないと思えた飛沫は、案外普通の少年だった。悩みもするし、諦めもする・・

その魅力が素敵だった。

三部は多分要一の話のようです。
長い割にてきとうな閉め方で申し訳ないです。