No-music.No-life

ヤフーblogから移行しました。

エバーグリーン

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2人をつなぐものは…約束。中学校の卒業式で、10年後の再会を約束したシンとアヤコ。夢をかなえるため、シンは地元に残りアヤコは東京に向かう。それぞれの日常の中で、時間も距離も離れた2人の心は、揺れていた-

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旅行に行ってたり、 面接とその準備があったことで・・
買ったのにずっと読めなかった豊島さんの新作!

2006年
3月 陽の子雨の子
4月 夜の朝顔
7月 エバーグリーン
8月 底辺女子高生(初エッセイ!で、文庫らしい)

という凄い勢いの、豊島さん。
しかし、「底辺~」を発売したら年内にはもう本は出さないらしいです。
連載は沢山してますけどね。

しかし、エッセイがかなり楽しみです。
豊島さんと音楽的な趣味も似てるところがあるし、高校時代の人生が・・(地味で目立たない底辺だったという)似すぎ!笑
しかも、豊島さんのブログを見ていただけると分かるように・・
毒が混じってたり、変に自虐的で面白い(笑)

こりゃあ楽しみですよ!
エッセイなんて、乙一小生物語(エッセイ?!)以来かも。

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話は中学時代の男女(シンとアヤ)の語りで始まる。

東北の雪の積もる田舎で暮らす中学生。

シンもアヤも、クラスでは決して目立つ存在ではない。

シンは、バンドでギターを弾いていて絶対にプロのミュージシャンになる!なれる!という気持ちで毎日を過ごしている。

一方、アヤはクラスでも漫画やジャニーズが好きなオタクグループに属している。

クラスが同じでも、今までお互いが接点を持つことはなかった。

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ある日。
学祭をあと少しに控えていた時。

シンのバンドのボーカルが突然やめてしまう。
更に口論になり、ドラムとベースのメンバーも抜けてしまい一人になってしまったシン。

偶然その口論を聞いてしまったアヤ。

思い切って話しかける。

「シン君、通学路でうたってんのに、もったいないよ」

そう、通学路を歌いながら自転車に乗っていたシンを、アヤは知っていたのだ。


それから、少しずつ二人は接点を持ち始める。
他愛もない話をして。
シンには、可能性があると・・きらきらしていると信じているアヤと。
それを少し誇らしげに思うシンと。

やがて、学祭が近づきシンは一人で舞台に立った。
一番最初に拍手をくれたのは、アヤだった・・

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趣味でもなく、ただ今書きたくて漫画を描いているアヤは、それをシンに見せてと言われ、頑なに拒否をする。

「人に見せられないよーなもん描いても」

と思わずシンは言ってしまう。

それから、二人は卒業まで話をしなくなってしまった。

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卒業式。

雪の積もる道を、自転車で帰るシン。
その姿を見ても、何もできないアヤ。

友達に推され、アヤは走る。
シンの元へ。

そして約束する。

「十年後」

シンは、プロのミュージシャンになって。
アヤは、漫画家になって。

ここでまた会おう・・
そう約束した。

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そこから物語は、その約束を数ヶ月後に控えた所から更に始まる。

シンは、シーツを運ぶ地元の会社に勤め、彼女もいる。
アヤは、本当に漫画家になって、初めての彼氏もできた。

このまま二人は、すれ違っていくのか?
会う事が出来るのか?

10年の時は、どれだけのものを忘れていくのだろう・・。

色々な想いを抱えたまま、やがてその日がきて・・

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とまあそんな内容ですが、
今回の作品は書き下ろしなんですよね。

で、印象としてはちょっと後半で急ぎ過ぎてしまった感があります。
もうちょっと丁寧に描写して欲しいところがあったけど。

でも、それは内容に比例しているのかもしれない。
逆にそこは淡々としていた方がいいのかも。

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なんで、今付き合ってる「彼氏」とじゃすっごいハッピーエンドにならないの?ハッピーエンドじゃないのにその人と付き合ってるのはなんで?

と思っていたアヤが、

万が一私が、シン君じゃない人を隣に置くのなら、その時にはすっかりシン君のことを忘れているんだと思っていた・・・でも、実際に、私はというとシン君のことを忘れていない

人と付き合ってみてこういう想いに変わったのが印象的でした。

「そばに居る人と居ない人は全然異質の『好き』になるよね」

かなり納得してしまった。
今の自分も、そんな感じなのかもと・・。

10年も、忘れられずに約束や想いを抱えていられるものなのでしょうか?
私も今のままで行ったらそうなりそうで怖いけど。

こんな物語のように、前に進んでいけたらと思いました。

余談。

今までの豊島さんのカバーと違った写真だったので少し驚きました。
こういう写真は凄く好きなので、更に豊島さん、あんた凄いよ!
としみじみ思ってしまったのでした。