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夜の朝顔

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人生で一番長い6年

小学生センリが初めて知る、不安、傷み、憧れ、恋。

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豊島ミホさん、待望の新作。

前作陽の子雨の子から、一ヶ月足らずでの新作。
ファンとしては、嬉しい限りですね♪

小学1年生~6年生までの話だというのは少し知っていたので、私はてっきり短編の一作一作が別々の主人公で語られるんだろうな、と安易に考えていました。

ところが、私が好きなそれぞれのストーリーに繋がりがある話だったのです。


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この話の主人公、大原千里とその家族、友人、学校生活・・
様々な角度から、そして少しずつ大人になっていく成長過程(1年生~6年生へと)を感じることができて、何とも胸がきゅんとしてしまいました。

主人公のセンリが、また妙に考え方が大人びた子で、それでいて友人関係への疑問や違和を感じ取るのがとても敏感で(でも本人は、気付かないふりをしているように思う)。
こういう小学生がいたら、ちょっとは小学生を見る目が変わりそうだと思うのだけど・・
現実は、なかなかいないんじゃないかな。


一番印象に残った言葉があります。

ー「どうして」なんて要らない世界に、ずっと居られたらいいのに。


幼い頃からいつも一緒に行動していて、「友達」と思う以前から既に「友達」だと思っていた友人たち。
「どうして友達なんだろう?」「どうして一緒にいるんだろう?」
なんて思うことすらなかったのに。

どんどん変わっていく友達。
大人びて、派閥を作っていき、いつの間にか二人の間に何か見えない隔たりを感じる。
自分だけが恋を知らない。
病弱で、ずっと姉にすがってきた妹がいつしか自分の元から離れて行こうとしている・・


そんな淡い淡い思いが、色々なストーリーとなって展開されていきます。

入道雲が消えないように
ビニールの下の女の子
ヒナを落とす
五月の虫歯
だって星はめぐるから
先生のお気に入り
夜の朝顔

それぞれの物語が、キラキラとしてる。

若さゆえに感じる違和感のようなもの。
そういうのを無理にでも乗り越えていかなくちゃいけなくなって・・
だんだん大人になっていくのだろうけど、子供は子供なりに色々感じているのかなあ?
と思えるような作品だと思います。

自分が小学生の時も、いい思い出なんてなかったけど、私はその違和感に気付いたのが中学の時だったから、あれはあれでまだ幸せだったのかもしれない。

小学生の時からの友達で続いている人なんて一人もいませんよ。

無理してたんだなあ。
合いもしないうわべだけの友達にすがるほど、親しい人がいない環境だったし・・
あの頃はもっと全然暗くて大人しい子供だったからなあ。。

ああ嫌だ嫌だ。

何だか小学生や中学1年生の頃のそういう違和感がせりあがってくるような気がした。

今、同じように違和感を覚えても、決してあの頃のように抑えることが出来ないだろう。
気付かないふりなど出来ないだろう。

そんなことを思ってしまった一冊だった。

豊島さん、本当に凄い。