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青空チェリー(文庫版)

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入学して一ヶ月、うちの予備校の隣にラブホが建った。以来あたしは屋上からのぞきちゃんな日々。ゆるしてちょうだい、だってあたし18さい。発情期なんでございます…。

豊島ミホさんの本です。


檸檬のころ」で豊島さんを知ったのですが、他の本も気になって買ってしまいました。

その豊島さんのデビュー作。
うう~ん。
期待していたほどではなかったですが・・。

ちょっとびっくりです。

檸檬のころ」では、淡い青春の日々を丁寧に描写している感じだったので、ただただ「青空チェリー」という作品にはびっくり。

『爽やかなエロという感じ』(どういうこっちゃ)・・とか本のレビュー(ヤフーの)で書いてあったが・・
いや、もうあの・・びっくりです。

豊島さんには、こういう路線じゃなくても十分に読み手に伝えられる表現力があると思います。
まあ、確かにねちっこいとかそういう感じは全くないとはいえますが・・。

で、逆に読んだ後、ぐっと心を掴まれた作品は、

「ハニィ、空が灼けているよ」
は、読後感が良かったです。

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日常に突然入り込んできた「戦争」

おいしい食べ物も、娯楽もちゃんと傍にあった。
空を行く戦闘機は、一般市民に害を与えることもない・・
ただ、遠い国で、戦いをしている人がいる。

このまま、続いていくと思っていた日常。

戦争が、いつの間にか日常に入り込んでいたなんて・・気づきもせず。

主人公麻美は、付き合っていた大学教授から、突然「夏休みに、田舎へ帰る」(=疎開)ことを命ぜられる。
電話は、しない。手紙だけのやりとりをする。
「夏休みが終わるころ、ここで会う」と約束をして・・・

やりきれない思いの中、田舎へ戻る麻美。

そして、同級生だった英二との再会。

ひょんな事から付き合うことになった二人。

麻美は自分のことを「ハニィ」と呼ばせる。
そして、英二を「ダーリン」と呼ぶ。

就職もせず、学校にも行かず、プーを続ける英二にも戦争の影が忍び寄る。
届いた電報は・・
赤紙だった。

普通に存在していた日常が、どんどんおびやかされていく。
身近に、戦争の影響が迫ってくる。。。

教授から切れることなく続いていた花のプレゼントとメッセージカード。
ある日、違和感に気づく麻美。

この花が届けられる限り・・教授は無事でいると、ただそれだけを信じてきたけれど・・・


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題材が、「となり町戦争」に似てる。というか、これをパクッたんじゃないか?というくらい。

でもとなり町戦争より、全然いい。
遠いながらも、確実に主人公やその周りの人物達に、戦争の影が忍び寄ってきて、その緊迫感が伝わってくるし。

けど、決して重い話ではない。
どうしようもない毎日を過ごしながら、希望を見出していけるのだこの主人公達は。

もう一作品。

「誓いじゃないけど僕は思った」

は、中学の頃に好きだった相手を、大学4年生になっても忘れられずにいる男の子の話。

少し奇妙で、変態か?と思えるんだけど、何故か少し切なくて、爽やかで・・
見事話の中に感情移入してしまってた。

そんな話です。

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文庫版は、実は「青空チェリー」以外は、単行本版と違うらしい。

「ハニィ~」に関しては、大幅に加筆修正が加えられ、「誓いじゃないけど~」という作品は、単行本版に収録されている「なけないこころ」という話を題材は同じで、書き下ろししたものらしい。

そういわれると・・・単行本も読みたくなるのです。
読み比べたいなあ。