土曜日。
タワレコに行き、レミオロメンの「蒼の世界」と音速ラインの「逢瀬川」を買った。
CDを買うのが目的だったので、いざCDを買ってしまうと手持ち無沙汰になる。
ぶらぶらと店内をうろつく。
新譜案内。
おお~!ミゾオチのシングル発売情報がある!
お次は試聴。
でもあんまりピンと来なかったのでまた別の場所へ移動・・・
と、ふと気づいた。
あれ?
あの人。
さっき新譜案内を見ている時にもいなかったっけ?
ボーダーの上着に眼鏡で割と身長の大きい人。
顔はよく分からない(見ないから)
まあいいや。気のせいだろう。
と思い、雑誌のコーナーへ。
CDデータって、案外自分の好きなバンドとかも載っているんですねえ。
フジファブリックに、つばきにランクに。
ふむふむ。
と思い顔を上げると
うおっ!
またあの人がいるやん!
しかも隣?!
全然気配を感じなかったので、はっきり言ってびっくりした。
自分がその人に気づいたせいか、向こうも気配を察したのだろう。
その人は雑誌をパタンと閉じて、また何処かに移動していった。
で、何となく気になったので遠くから様子を伺っていると・・
その人はレジでCDを買っていた。
自分がいるところまで一歩また一歩と近づいてくる。
もしや・・・何これ?
恋の予感?(笑)
と思いきや、その人は下りのエスカレータで私の方を一度も見ることなく去っていった。
世の中、そんな漫画みたいなことなんてないっすよ(笑)
---
漫画みたいなことと言えば。
高校生の時、夢の電車通学になり、電車の中で生まれる恋なんてものに憧れを抱いていたものだ。
中学卒業前に好きな人に告白して見事玉砕。
そんなこんなで、「どうせうまくいかない恋なんて・・」
と、恋そのものを諦めていた高校時代。
かっこいい人を探すのが趣味でした(笑)
特に、電車のホーム(下りの電車にいたあの人とか・笑)や電車の中で見かけるあの人とか・・
何かしら出会いがあるのではないか?と夢膨らませていたものです。
しかし、そんな上手い話はあるわけがなく。
声を掛けられても「コノデンシャ、○○イキマスカ?」(外国人率高し)とか変なオヤジに絡まれそうになったりするだけで、期待は大いに外れるばかり。
でも一度、いや二度だけ・・そんな体験もなきにしもあらず。
---
いつものように高校の最寄の駅へと降り立つ。
またつまらない学校に行く日々にもいい加減嫌になってくる。
そんないつもと変わらない日常。
でも、その日は少し違った。
「あの!」
電車のドアが閉まって、その駅から電車に乗り込む人波の中、一人の男の子(多分2、3個年上くらい?)がふいに自分に声をかけてきた。
「?」
あまりにもびっくりしすぎて声も出ない。
「明日・・一本早い電車に乗ってきてくれませんか?」
はあ?
と思いつつ、唖然として声が出ない。
その人はそれきり、何も言わず電車に乗り込んだ。
え?だから、何?
動揺しすぎて一言も声を発することが出来なかった自分。
学校に着き、皆にその話をすると
「告白なんじゃないの~?(笑)」
と冷やかしの声。
いや、まさか・・。
だってねえ。
そんな人がいたこと自体、初めて知ったんですが。
というより何より・・・
だって・・
知らないところで、自分を見てくれている人がいたのか?
いやいや・・告白と決まったわけじゃない。
喧嘩売られてるのかもしれないし、からかわれたのかもしれないし。
でも・・まさか、ねえ。
と言っても、一本早い電車に乗るのはとても至難の業だった。
乗り換え時間が1分くらいしかないのだ。
そこまでして行くアレでもないだろう。
そうして、いつもと同じ電車に乗ると、何事もなく同じ朝が過ぎていく。
それから何日も経って、忘れかけていた。
が、しかし・・
改札をくぐりぬけ、高校へと歩いていく。
いつもの日常。
すると・・
「あの!」
え?まさか・・
「明日・・一本早い電車に乗ってきてくれませんか?」
また同じ台詞。
顔はもう覚えてないけど、『意を決して』という言葉が似合うような。
そんな表情でその人は言った。
あまりにもまた突然で動揺し、声が出ない。
そんな自分の様子を見て
「無理・・ですよねえ?無理ですよね・・。じゃあ」
少し悲しげにその人は去っていった。
私は唖然として、そしてまた学校へと歩きだした。
それきり、その人に話しかけられることはありませんでした。
---
私はこうやって、人を警戒し過ぎて出会いのきっかけを自らなくしてしまっているのかもしれない。
なんて・・そんなことを思うこの頃。