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カラスの親指

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「こうしてると、まるで家族みたいですよね」
“詐欺”を生業としている、したたかな中年2人組。ある日突然、彼らの生活に1人の少女が舞い込んだ。戸惑う2人。やがて同居人はさらに増え、「他人同士」の奇妙な共同生活が始まった。失くしてしまったものを取り戻すため、そして自らの過去と訣別するため、彼らが企てた大計画とは!?

日本推理作家協会賞【長編及び連作短編集部門】受賞




道尾秀介さんの本です。

予約していたのですが、ようやくやって参りました。

そして、読み終えて本当に「参りました」。

ああ、もう本当にこの人は・・・・。大好きです!!


今回は、ミステリの色合いがとても強い作品だと思います。
暗い過去を背負った二人の男。
そしてひょんなことから出会った一人の少女と、その少女の連れと共に同居することになった。

闇金業者に金を借り、挙句一時期でも闇金業者の下で働いていたことのある武沢。
そんな中で、一人の女性を死に追いやったことがあった--

また、闇金の返済に追われ、債務整理屋に依頼をしたことがきっかけで更なる負債を抱え込み、妻を亡くした入川。

闇金業者からの借金に苦しみ、自殺へと追いやられた母親を持つまひろとやひろ。
そしてやひろの彼氏、貫太郎。

闇金業者への復習と、過去との決別のために彼らが考えた報復とは-ある芝居を打ち、相手を騙すことだった--




一見すると、本多孝好さんの「チェーン・ポイズン」のような軽快さとテンポの良さがあります。
本多さんの作品でも、最後の最後でどんでん返しがありましたが・・・。

道尾さんは、どんでん返しにつぐどんでん返し。

物語のどんな些細な表現だって見逃してはいけません。
そう、結末はどう転ぶかなんてわからないのですから。

読み応えのある長編でした。


それにしても、闇金の話は読んでいて辛かったです。えげつないです・・・。
だけど、物語の中でテツさんが語った親指とそのほかの指との関係の話にはっとして、ラストでまた感動してしまいました。


とりあえずこの作品で、道尾作品は残すところあと1冊になってしまいましたね。
あーだけど、この騙された!と感じる感覚が快感です。

すごすぎる作家さんです。
大好きだー!