最愛の息子が失踪した直後、愛人の男が事故で死んだ。もしかして、息子が殺した…? 亡霊のように現れる過去の絆。第5回ホラーサスペンス大賞受賞作品に加筆して単行本化。
沼田まほかるさんの本です。
道尾さんの本を読んだとき、選考員が相当褒めちぎっていた作品がこの作品で、個人的にかなり興味を持っていたのです。
ようやく読みましたが・・・確かに上手い!
道尾さんの作品も個人的には凄く好きで、デビュー作にしては面白かったと思うのですが、確かにこの作品を読むと、とにかく文章の秀逸さに驚かされます。
ゴミ出しを頼んだ後――息子が戻らない。
何の前触れもなく失踪した最愛の息子。
何の前触れもなく失踪した最愛の息子。
母親が気付けなかった息子の苦悩。
抱えていた思い。
抱えていた思い。
離婚した精神科医の元夫、患者であった過去に酷い傷を受けたその妻、妻の血を引いた美しい娘―
息子が失踪して間もなく、
男と女の関係だった若い男が、電車に轢かれて亡くなった。
男と女の関係だった若い男が、電車に轢かれて亡くなった。
その男は、元夫の娘と付き合っていた。
そして息子は、娘と度々会っていたという。
そして息子は、娘と度々会っていたという。
「好きになってはいけない相手」「殺したい」
級友にこぼした息子の言葉。
何かにすがるようにかかってきた担任の先生への電話―
何かにすがるようにかかってきた担任の先生への電話―
繋がるはずのないと思っていた全てが繋がったとき、事件の真相は明らかになっていく。
男性をどうしようもなく狂わせてしまうほど、不思議な魅力を持った女の人というのは、確かに存在する。
けれど、この亜沙実という女性・・・こんな仕打ちってありえるんでしょうか。
読んでいて痛すぎて辛かったです。
読んでいて痛すぎて辛かったです。
血をわけた娘も、同じく男性を虜にする魅力を持った少女ではあったけれど、母親とは違う「守ってあげたくなる」タイプであったことが唯一の救いでした。
複雑な家庭環境が絡まりあい、出来の良い落ち着いた息子を演じていた文彦の葛藤が伝わってきて苦しくなりました。
主人公の女性が40歳台なのですが、読んでいて違和感なく読めたのは、沼田さんの文章力が秀でているせいもあるのでしょう。
物語としては、ホラーなのか?サスペンスなのか?と思うところもありますが、続きが気になってぐいぐい読み進める事ができました。
内容は重かったですが、とても満足した一冊でした。
早速2作目を読んでいます。でもこっちはちょっと微妙な感じかも。