金は天下のまわりもの。財布の中で現金は、きれいな金も汚ない金も、みな同じ顔をして収まっている。しかし、財布の気持ちになれば、話は別だ。刑事の財布、強請屋の財布、死者の財布から犯人の財布まで、10個の財布が物語る持ち主の行動、現金の動きが、意表をついた重大事件をあぶりだす!読者を驚嘆させずにはおかない、前代未聞、驚天動地の話題作。
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宮部みゆきさんの本です。
これはまた、驚く手法です。
だって語り手が、財布なんですから。
人間にも多種多様な人がいるように、財布にだって、実に色々な個性の持ち主なんです。
ある持ち主の財布を主軸に描かれた、短編連作集。
何処にでもあるような、保険金殺人事件が勃発。
その犯人、刑事、被害者の親戚、関係者、探偵など、様々な視点から(けれど財布が見える範囲、分かる範囲でのみ展開されています)描かれていくのですが、なかなか事件の主軸は見えてきません。
読み進めるうちに、いつしか焦点が結ばれていきます。
ああ、小説って、人間が主体じゃなくても良いんだな!
と、目からうろこの小説でした。
と、目からうろこの小説でした。