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おと・な・り

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映画の割引チケットを買っていたので、早速観に行って来ました。(ちなみに観に行ったのは、5/30)
こちらでは今日から公開という事もあって、割と早めに行ったのですが・・・

RO○KIESの公開初日という事もあって、いつもは空いている映画館なのに、めちゃくちゃ混んでる!
チケットを買うのも一苦労。

この映画自体は、公開初日ではありましたが朝一の回という事もあって?
意外と空いていました。

岡田准一が出ているので、ファンの若い女の子が沢山来ていたりして・・
と懸念していたのですが、意外と落ち着いた年代の女性や男性が一人で来ていたり、
夫婦の姿もちらほら。
安心してみる事が出来ました。



さて。
虹の女神」の熊澤尚人監督作品です。

熊澤作品は、「虹の女神」「DIVE!!」と観て来ましたが・・・
虹の女神岩井俊二プロデュース故の良さ、という感じであって、熊澤監督の作品を一概に好き!とは言えないという私なのであります。

けれど、今回の主題がとてもよいですよね。


何気なく聞こえてくる音。

自然の音=風の音、水の音
人の声、喧騒、ざわめき・・・

忙しなく生きている毎日では、ふとしたら見逃してしまいそうなそんな色々な音。

それが、見たことのないお隣に住む人間の生活の音に置き換えてみる。

私もアパート暮らしなので、隣に住む人の物音はかなり筒抜けてきます。

非常識な時間に洗濯機を回したり、遅くまで話し声がしたり、夜になると子供がバタバタと階段を昇り降りする音が響いてきたり・・・

そのどれもが、不快だったりします。
でも同時に、自分の生活音もこんな風に人に不快感を与えているのかも・・・と思ったりもして。


顔を合わせれば挨拶くらいはするけれども、ほとんど知らない他人の音。
普通だったらそんな音にイライラしてしまうことの方が多いでしょう。


だけどこの映画は、隣同士に住んでいるというのにお互いの顔も知らない同士。
東京に住んでいる、という設定ですからそれも不思議ではないのでしょう。

外観も内装も綺麗で、広いお部屋なのに、何故かお隣の音が筒抜けになってしまうほど壁が薄いらしい。

隣に住む人の、珈琲豆をひくゴリゴリという音。
鍵束の鳴る、シャリシャリという音。

隣に住む人の、「風をあつめて」のフンフンという鼻歌。
ドアが開閉するときに聞こえる、シャランという音。

そこは映画ですから、何故かお互いの生活時間が若干違うらしく、隣に住んでいるのに絶妙なタイミングで鉢合わせる事がありません。

悲しい時、楽しい時、悩んだ時、苦しい時―

そんな時、「おとなり」から聞こえてくる音にいつしか癒されたり、元気づけられたりしている。


30歳という年齢と共に、将来を見据えて生きていかなくてはならなくなる。
カナダ行きを決めているカメラマンの聡は、自分がどうしたいのかを見失いかけている。
フラワーデザイナーを目指す七緒は、フランス行きが決まっている中、自分がやりたいと信じてきたものがぐらつきそうになるのを感じている。


とても近くにいるのに、顔も合わせた事もなく、言葉を交わしたことのない二人。

そしてやがて二人の意外な接点が浮かび上がってくるのだが・・・




正直な感想。

「ありえない」


そもそも、こんな美男美女が隣同士に住んでいるという時点でありえない!んだけど、それは映画なので許します。

でも・・・この二人がこういう形で繋がっていたというのは・・・敢えて設定を変えて欲しかったなと思ってしまいます。
ちょっとなあ、上手く行きすぎだよーって思ってしまう。

七緒の通う喫茶店で、聡の撮った写真が飾られているだとか、そういった偶然だったらあるかもしれないって思えるんだけど。
うーん、設定が悪くないだけにここまでつなげなくても良かったのでは?って思います。


聡の悩みの原因となった、池内さん演じるモデルの存在も何だか・・・うーんという感じ。
あれだけ探しても見つからなくて、散々かき回しておいて、結局あんな結末?というか。

それに、七緒の存在が気になってアプローチをかけてきた岡田義徳演じる彼の、あの豹変はちょっと・・・
敢えて入れないで欲しかったかも。
そんな事ありえないよーと思いつつ、彼は本性を出さない誠実なままでいてほしかったかな。
それに、結局その本心を出したことによって、物語に何か大きな変化があったのか?と考えると微妙な気がしたし。


でも、良かったのは谷村美月演じるモデルの男の彼女。
こってこての大阪弁、そして恐らくB型だろう(笑)と思われる強引さと一切人に気を遣わないというその様は、かなり「ウザイ!」
だけど・・・こういう子だからこそ、モデルの男は彼女を選んだんだろうなとも思えました。
それくらいの存在感があって、それを谷村美月は見事に演じていたと思います。

そして、多分聡の元カノらしい市川実日子演じる同僚。
出演シーンとしては少ないのですが、存在感ありましたね。
この人、結構好きなんですよね。何か可愛い。

そして同じく少ししか出演シーンがなかったのですが、森本レオの存在感。
やっぱりレオは凄い(笑)


一番良かったのは、何と言っても麻生久美子でしょう。
麻生久美子なしではこの映画は語れないと思います。

この人の透明感と自然体な演技はついこれが映画であることを忘れかけてしまいそうでした。

鼻歌というか、「風をあつめて」を歌うシーンがあるのですが、歌声がめちゃくちゃ可愛い。
30歳を越えても、こんな風に可愛らしい大人になれたら良いなあとか思いながら見ていました。

岡田准一の出ているドラマや映画は見た事がなかったのですが、凄く自然体でしたね。
演技が上手いって言われている意味がやっと分かりました。
○ャニーズに入っているのが本当に勿体無いくらい。
この人は俳優でやっていった方が全然良いのではないだろうか。


と、まあ色々書きましたが・・・
映画としては、「まあ、良かった方ですよね?」という感じでしょうか。

決して駄作ではないと思います。
・・・なんだけど・・・あまりにも上手く繋がり過ぎているというのと、あのエンディングは・・・続きが気になって仕方がないですし(苦笑)

この設定で、例えば岩井俊二が作ったら。。。とか考えると、絶対そっちに期待してしまうような、そんな感じ。
「音」をテーマにした作品なだけに、もうちょっと・・・うーん、もうちょっと別の形で一つの映画になったら良かったなと思います。はい。


でも、不思議ですね。

知っている人が出していた音だってわかった瞬間、何かほっとするんだ。

例えばめちゃくちゃ嫌いな煙草を吸っているのが、見ず知らずの他人だったらかなりムカツクし不快に思うのに、
それが自分の好きな人だったり、友達だったりすると、「煙草吸っていい?」と言われても「あ・・・うん」って思わず言っちゃうのとちょっと似てる。
って違うか。

一人暮らしをしていて、隣に住んでいるのがこんな可愛い人だったら惚れますわ私は(笑)

ありえないけど、あったらいいなという話。
そんな映画でしょうか。