公開延期決定後、ようやく今月から公開が始まった「僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46」を観に行ってきた。
予告編の時点から「面白そう、見たい!」と思っていたのと、ユーザーレビューも4点以上なので更に期待度が高まりながらの鑑賞。
結論、面白かった。
ただ、感想をうまく言える自信がない。
観終わった後の余韻が半端ないというか。もう1回観直したいと思うような。この何とも言えない感覚をうまく伝えられるだろうか。
にわかファンの私のような人間(アイドルファンでもない・メンバーの名前もほぼ知らない・楽曲だけは格好良いと思ってYouTubeで聞いているが、ある時目覚めてCDを購入した、という半端な)が観た感想、ということで読んでいただけると幸いである。
(※ネタばれを含む)
まず、タイトルにある「嘘と真実」。
結局、「真実」は謎のままである。
皆が知りたいと思っている、「平手友梨奈の脱退の真相」は本人から語られることはない。また、一部のメンバーのみのインタビューであること、あくまで「~だったのではないか?」という憶測のみが語られるので、想像でしかない。
そして「嘘」が何だったのか。
これも難しいところだ。
そういった小難しいことはさておき、単純な感想。
ドキュメンタリー映画なんて何が面白いんだ?観に行く人の気が知れないわ、と思っていたような私。
今回初めてドキュメンタリー映画、しかもアイドルの作品を観た訳なのだが、2時間以上もあることを忘れるほど、飽きることのない構成で最後まで観ることができた。
これは、本当の欅坂ファン向けというよりも、欅坂の名前レベルしか知らない人、曲は好きだけどそんなに詳しくはない、というような人が見るにはとても満足する作りなのではないかと思う。
まさに私のようなにわかファン層にはどんぴしゃで、随所に散りばめられる迫力のライブ映像、噂には聞いていた平手友梨奈がステージから落下するシーン、今回のアルバムでカットされた不協和音の「過激な表現」等々、映画館ならではの大スクリーンと音響効果も相まって、ライブ会場にいるかのような臨場感を十分に味わうことができた。
特に見たいと思っていた平手友梨奈の「角を曲がる」の映像を見ることができたのはとても嬉しい(ちなみにこのシーンで目頭が熱くなった人)。
他にもシングル曲を中心にしたコンサートの映像など、何度鳥肌が立ったことか!
欅坂が出演していた年のロッキンやカウントダウンには参戦していたのに、仕事やら都合が合わなくて一度も生ライブを見ることが叶わなかったこともあり、また、平手友梨奈がいた頃のパフォーマンスだけではなく、もう「欅坂46」としての生パフォーマンスを観ることがもう叶わないかと思うと、ただただ悔しく感じるばかりだった。
それほどまでに、鬼気迫る迫力のあるライブパフォーマンスが映像からも伝わってきた。
TVでは口パクだと思うのだが、ライブ時にはちゃんと歌っているのでダンスで乱れた呼吸音や歌声が臨場感を伴って、更にその気持ちが強まった。
そして、そのライブ(表舞台)とは真逆の舞台裏のハラハラさせる展開を見せられた後だからこそ際立つ、表舞台のシーンよ。
結成当初の頃は、可愛らしい声でメンバー一同が気合を入れるシーンや、緊張でどうしようどうしようと言っているシーンやら、メンバー同士気合を入れたり入れてもらったりのよくある舞台裏的なシーンがあって微笑ましい。
しかし、不協和音の頃から、どんどん平手友梨奈の精神的にも体力的にも限界ギリギリになっているシーンからの、表舞台に立った瞬間に圧巻のパフォーマンスを魅せてくれるところや、絶対的センターである平手友梨奈不在に動揺するメンバーの葛藤など、どんどん見ていて苦しい展開が続く。
まさかこういった映像を撮り始めた頃はこんなドキュメンタリー映画になるとは思ってもいなかったのだろうが、だからこそデビュー当時の笑顔溢れる初々しい平手友梨奈の笑顔や、メンバー間のわきあいあいとした様子から一変して、笑顔や余裕がなくなっていく様がよりリアルに伝わってきて息苦しいほどだった。
随所に挟まれる特定メンバーのインタビュー。
キャプテンの菅井友香(平手不在でも別のメンバーがセンターに立ってパフォーマンスを続けるべきと思っていた側)、副キャプテンの守屋茜(平手以外のセンターではありえないと思っていた側)の、終始奥歯に物が挟まったような・・・全てを語り切れない感じ(キャプテン故に、本音を言いたいけど言えない立場であろう)が、更に真相は一体何なのかの謎が深まるばかりだし、「皆と思っていることとは違う」気持ちを持っているメンバーの意味深な言い方も色々と気になる・・・。
また、相次いで脱退が発表されたメンバーの中でも、今泉佑唯、長濱ねる、平手友梨奈のみしか脱退に触れられていないことも気になるところ。
特にセンターポジションを務められたのではと思われる今泉、長濱の脱退理由もわからないままで、卒業メンバーのインタビューが一切ないのはもやっとする部分ではあった。
ひらがなけやきの存在や例の事件についても全く触れられていなかったり。
絶対的センターと言われる所以である圧倒的な表現力とカリスマ性をもった天才(平手)に、他メンバーに「(自分たちは)バックダンサー」と言わせてしまうその突出した存在感とそれゆえの孤独が否が応でも伝わってきてとにかく後半にかけて観ていて苦しいほど。
曲に対して常に全力のパフォーマンスを魅せたいと思うセンター。
それ故に納得がいかないと撮影現場に訪れなかったり、ライブに参加しなかったりと、傍から見ればどんな大御所やねんと思うような状況なのに、運営側はそれを受け入れて、メンバーさえも、「平手友梨奈という絶対的センターがいない」という状況では変わりを務められる人はいないと思ってしまうような、ギリギリの状態にまで至ってしまう。
多分、自分だったら(特に2期生の立場からすると)ようやく次のシングルの発表ができると思ったのに、こいつのせいで発売延期になるなんて・・と恨み言の一つも出てしまうところなのだが、そういったメンバーの姿は特に映されない。
本当にそういう人がいなかったのか、それともやっぱり皆、「平手一強」の体制からは変えられないと思ったからなのか。。。
平手からは割と早い段階でグループから離れたい旨の決意を伝えていたことを知ることができるが、皆が強く残留を望み、怪我や苦悩を抱えながらもその後もセンターというポジションで圧倒的な存在感を見せてきた平手。
しかし、舞台裏では息も絶え絶え、精神的にもかなりのギリギリの状態と思われるのに、6人も7人もの大人たちがそんな状態の平手を舞台に上がらせるシーンは、辛い。
けど、皮肉にも会場のファンの声援と同じく、自分も舞台の上のパフォーマンスを観たいと思っている側であると気づく。
振付師に「大人の責任とはなんだと思いますか?」と質問するシーンで、「ずっと見ていることだと思います」と答えているが、ならばなぜあんなにも天真爛漫な笑顔を見せていた女の子をここまで無表情でギリギリの状態になるまで解放してあげられなかったのか?と思ってならないのだ。
プロデューサーの秋元康もほぼ出てこないし、、運営側(大人たち)の考えも
もっと知りたかったなと思うのが正直なところ。
また、公開延期後に改名が決まった欅坂の「誰がその鐘を鳴らすのか?」の無観客ライブシーンおよび改名発表のシーンなどが追加されているのだが、これが入っていない当初公開予定だった映画はどういった結末になっていたのかな?というのも気になる。
結局のところ、真実は分からない。
でも、「誰がその鐘を鳴らすのか?」のパフォーマンスを観て、平手友梨奈が、センターがいないという状態でも、こんなにも圧巻のパフォーマンスを魅せてくれるグループなのだ、と再確認した。
5年という歳月で、デビューの頃は工事現場だった渋谷のあの場所もすっかり新しく生まれ変わった。
(映画の随所に渋谷の映像が入るのも興味深い)
果たして改名後、グループはどういう風に変わっていくのか。期待と、楽しみと。
一番印象的だったシーンは、初期の頃に平手友梨奈がコンサートを終えた後、「自分のパフォーマンスに納得できないから泣けない」と言うのだが、映画の最後の方で、渾身の不協和音のパフォーマンスを魅せた後に、ぐったりと椅子の上に横になりながら、ぽろりと涙を流す。
そして、その後。正式に欅坂46からの「脱退」を決めた。
ギリギリの状態で保ってきた中で、それでも自分の中で納得できるまでやりきってから終える、という執念なのか。常に全力で挑むその姿勢に胸が熱くなったシーンだった。
とても興味深いドキュメンタリー映画だった。
欅坂に詳しくない、という人ほどぜひ観てほしい。
伝えたいことが上手く伝えられている自信がないので、あとでちょこちょこ足していくかもしれないけど、今はこういった感想しか書けず、無念。
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あ、全然知らなかったのだが、昨日新グループ名が発表されていたのね。
櫻坂46
パッと見た時に欅との差があまりないと思ってしまったのは私だけ?
さくら坂46とか、いっそ坂道シリーズとは全く離れた名前に改名しても良かったのではと思うところではある。
響きはほんわかとしたとても明るいイメージだけど、もうこれまでの曲は歌わなくなってしまうのかな?
(ひらがなけやきも、日向坂になってからは明るい感じなのであまり興味がなくなってしまった人)今後どうなっていくのか、気になるところ。