高校生の真奈美は、カレと入ったラブホテルで、自分の父親が同じマンションに住むOLの葵さんと一緒に歩いているのを目撃してしまう(「葵さんの初恋」)。元カレと逢瀬を繰り返す主婦、人生最後の恋に落ちた会社員、壮絶な過去を持つ管理人の老夫婦…。ある川辺に建つマンションを舞台に繰り広げられる反道徳の恋。愛憎、恐怖、哀しみ…様々なフリンの形を通じて、人と人の温かさ、夫婦や家族の関係性を描ききった連作短編集。
椰月美智子さんの本です。
タイトルから何となく敬遠してなかなか借りようという気持ちにならなかったのですが、いやいや、想像していたものとはちょっと違った短編集でした。
泥沼にはまるがごとく、後味の悪い世間一般的な不倫とはまた違っていて、自分の子供の同級生にときめく母の話や、元カレと逢瀬を繰り返すも最後にどっきりとする展開もあったり、妻と別れてでも職場で出会った女性を愛した男性の話など、意外と後味の悪いものは少なかったです。
話としても次の章で他の話で出てきた登場人物が出てきたりするのが面白かったです。
(4点)